ヒューマンロジック研究所が提唱するメモ術。仕事や生活で感じたことを「事実」「気づき」「教訓」「宣言」の4行で記録して、自分の行動を振り返る。

 プロジェクトが終わったら、反省会を開いてうまくいったことや改善すべき点を皆で話し合う。社員が日報や週報を書いて、起こったことや感じたことを文字に書き出す──。仕事の節目でこんな「振り返り」を行う組織が増えています。体験を客観化して、良かったことを評価し合い、課題を確認、分析するなどして、次の仕事に生かすためです。

 こうした振り返りの手法の1つが4行日記です。毎日起こったことを「事実」「気づき」「教訓」「宣言」の4つに分けて、1行20文字以内の短い文章で書き出すというもので、人事コンサルティング会社のヒューマンロジック研究所(東京・中央)が考案しました。

効果◆未来の姿を考える

 4行日記では、まずその日に起こった出来事などの「事実」を書き出し、それに対して自分が感じたこと、発見したことなどの「気づき」を書きます。この主観的な気づきを抽象化して、格言やことわざなどに置き換えるのが「教訓」です。最後に、「私は○○している人間です」と未来の自分の状態を「宣言」します。例えば「違う部署の人と話した(事実)」「いろんな視点を持つ人がいた(気づき)」「片方聴いて沙汰するな(教訓)」「私は広い視野を持つ人間です(宣言)」という具合です。

 毎日自分の行動を振り返り、この4段階で思考を深めることが、なりたい自分像を明確にし、行動を変えていく助けとなります。自己啓発や能力開発を目的に、4行日記に取り組む人は増えています。

 個人ではなく組織で導入すれば、企業ビジョンの浸透にも役立ちます。社員一人ひとりが4行日記を書くたびに、ビジョンに沿った行動が取れているかを確認し、これからどう行動するのかイメージを描けるからです。ビジョン共有のために全社員集会やワークショップを開く企業は増えていますが、これらは一過性のイベントにとどまりがちです。4行日記のような取り組みを通じて、ビジョンへの思いを深め続けることは有効でしょう。

事例◆ビジョン共有に活用

 実践者の多くは個人、あるいは職場単位の取り組みだと見られますが、全社的にビジョン共有の目的で4行日記を活用しているのが新日本科学です。永田良一社長の方針で2001年から全社員が毎日ノートやメールで4行日記を書いています。同社には28項目から成る企業理念があります。社員は4行日記を書く際に、自分が理念に沿った行動を取れているかを確認し、どうすれば理念に近づけるかを考えることを習慣化しています。

 各社員が書いた4行日記は、原則として上司が確認します。上司が「事実」や「気づき」を読むことで、部下の仕事の状況や、心理状態を把握するのにも役立っています。

出典:日経情報ストラテジー 2009年9月号 p.23
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。