現場で発生した問題の原因を究明するために、何度も繰り返して自分に「なぜ?」と問いかけることで、問題の「真因」に迫る手法のこと。

 トヨタ自動車では現場で問題が発生した時、社員に「なぜ、それが起きたのか」を突き詰めて考え抜くことを求めます。それが「なぜなぜ5回」と呼ばれる手法です。5回という回数は、決まり事ではありません。ただし問題の根本的な原因である「真因」にたどり着くには2~3回の掘り下げでは不十分だとトヨタは考えています。問題の再発防止や品質向上につながる真因に到達する問いかけの目安が5回というわけです。

 なぜなぜ5回は元々トヨタの生産現場で生まれた言葉ですが、問題を根本から解決しようとするあらゆる職場に適用できる考え方といえるでしょう。

◆効果 「真因」を見つける

 例えば、机の上に置いていたはずの大事な書類が見当たらなくなったとします。あなたは、その原因が何だと考えるでしょうか。机の上が散らかっていて、ほかの書類の中に探している書類が紛れ込んだと推測するかもしれません。あるいは山積みの書類の一部が離席中に崩れ、肝心の書類が机の下に落ちたのかもしれません。

 このように、人は誰でも問題が起きると、「どうしてそんなことになったのか」と、一度は考えます。この場合は、自分が机の整理・整とんを怠っていたことが原因だと思うかもしれません。

 ですが、そこで考えるのを止めてしまったら、現状から何も進化しない恐れがあります。自分はなぜ、整理・整とんをしないのか。書類や文房具の置き場所をきちんと決めていないからなのか。決めていても、決めたルールを守っていないからか。それとも整理・整とんする暇がないほど忙しく、書類がたまる一方だからなのか。なぜを繰り返して、理由をどんどんさかのぼっていくと、真因が見えてきます。

 よくよく考えてみると、この職場には誰でも自由に出入りできることにも思い当たりました。大事な書類は誰かに持っていかれたとも考えられなくはありません。なぜ、そんなことになり得るのかといえば、部屋のセキュリティーが確保されていないからでしょう。

 何か問題が起きた時、その原因が何であるのかをとことん考えて、真因を突き止めるプロセスは非常に大切です。少しだけ考えを巡らし、表面的な原因だけを見つけて解決しても、真因が放置されたままでは、また同じ問題が起きる可能性が高いからです。

◆事例 なぜを繰り返して納期順守

 アドバンテストは2003年からトヨタ出身のコンサルタントの指導の下で生産改革に取り組み、改善活動の中になぜなぜ5回を取り入れています。部品供給の納期が遅れる真因を見つけるため、現場ではなぜを繰り返し、原因を潰します。こうしてリードタイムを従来の4分の1まで短縮することに成功しました。

出典:日経情報ストラテジー 2007年4月号 33ページより
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