リーダーを支える「フォロワー」、すなわち部下の力を指す。上司の指導力や判断力を部下が補完し、組織成果を最大化することを狙う。貢献力と批判力で構成される。

 あの改革が成功したのは、経営トップのリーダーシップが優れていたから―こうした話がよく聞かれるように、組織が目標を達成するうえでは、リーダーシップは確かに不可欠です。しかし一方で、「組織運営においてリーダーの影響力は10~20%にとどまり、残りの80~90%は部下である人々の力が左右する」とリーダーシップ偏重の組織論に異を唱える組織論の研究者もいます。

 米カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授は、著書『指導力革命 ― リーダーシップからフォロワーシップへ』(1993年プレジデント社刊、現在は絶版)の中でこうした部下の力のことを「フォロワーシップ」と呼んでいます。

◆効果 リーダーを補佐する

 ケリー教授はフォロワーシップの内容とは、「貢献力」と「批判力」という2つの力がともに高い状態だと定義しました。貢献力とは、上司の指示に従い、目標の達成にまい進することなどを指します。これに対し批判力とは、上司の指示が正しいのかを自分なりに考え、必要があればあえて上司に提言したりする力です。顧客や競合の動きに近い現場の視点などを生かして逆提案するなどの行動を指します。

 フォロワーシップが近年再評価されつつある最大の理由は、この批判力の意義にあるようです。変化も競争も激しい現在において、上意下達のシンプルな戦略や戦術だけでは競争優位を保てないからです。2005年に『部下力 上司を動かす技術』(祥伝社)を出版したICF(国際コーチ連盟)認定コーチの吉田典生氏は「今後のリーダーはプレイングマネジャーとしての職歴が長くなる半面、リーダーとして視野を広げる機会が限られてくる」と指摘し「こうしたリーダーを補完するためにも、部下の批判力の必要性が増す」と予測します。

 もちろん部下が不用意に批判すれば、上司の個人的感情を悪化させるリスクもあります。船井総合研究所でフォロワーシップ研修を担当する神門憲太郎氏は「上司の気持ちを知り、反感を持たれないような表現で上司に『提案』できるかどうかという視点で若手を教育すべきだ」と解説します。

◆事例 ビジョン浸透に威力

 不動産会社のプライムスター(東京・港)は吉田典生氏の指導の下、ビジョンの浸透や行動変革を達成するために、フォロワーシップ研修を若手社員層に取り入れています。同社では、若手が業界の慣習などに縛られたミドル層よりも柔軟に企業ビジョンを理解し、ミドル層へのビジョン浸透が逆に立ち遅れる問題がありました。ミドル層へのコーチングで意識変革を促す一方で、2006年に若手社員層にフォロワーシップ研修を導入し、ミドルへの提言の仕方を学んでいます。

出典:日経情報ストラテジー 2007年3月号 31ページより
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