ポイントはここ!

●国際WANを用いたシンクライアント環境を構築

●日中のアクセス回線でマルチキャリアの冗長化

 クレジットカード業界大手のジェーシービー(JCB)は、2007年3月から一部業務の中国拠点(大連市)への移管を進めている。同社は自社の事業で培ったノウハウを生かして、他のカード会社から業務を受託する「プロセッシング事業」を拡大している。その事業競争力を高めるには、コスト抑制や受託基盤となるシステムの強化が欠かせない。海外拠点への業務移管は、そのための戦略の一つでもある。

 とはいえクレジットカード事業に必要な顧客情報は、カード業界では何としても守らなければならないもの。できれば海外には持ち出したくない。そこでJCBは2010年12月、中国大連市と日本にある同社のデータセンターとの間でシンクライアント環境を構築した。顧客情報を国外に持ち出さずに中国から利用できるようにするために、端末にデータを残さない仕組みが必要だったからだ。シンクライアントの導入規模は約100台。これに伴って、当初20~40人程度の規模だった大連の体制を約300人に拡大した。

 日中間でシンクライアントシステムを利用するに当たって、遅延を抑えるために国際WANも見直した。新たにKDDIの広域イーサネット「KDDI Global Powered Ethernet」を採用。信頼性を高めるために、中国、日本ともアクセス部分は複数の通信事業者のサービスを使って冗長化した(図1)。

図1●JCBが構築したシンクライアントを使った海外への業務移管体制
2010年12月からKDDIの国際WAN「KDDI Global Powered Ethernet」を使ったネットワークを稼働させた。日立製作所のブレードPC型のシンクライアントを使い、国内にデータを置いたまま、一部業務を中国大連市に移管した。
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 一連のネットワーク、システム更改による投資は2~3年で回収、5年間で人件費を含めて約3割のコスト削減を見込む。

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