写真●ブックオフオンラインの物流拠点「東名横浜ロジスティクスセンター」の様子
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 ブックオフコーポレーションの子会社で、インターネットと宅配便を組み合わせた古本の買い取りサービス「宅本便」と、買い取った古本のネット販売を手がけるブックオフオンライン(横浜市)が、2009年3月期の古本買い取り件数を2008年3月期に比べて20%拡大させた。宅本便はブックオフコーポレーションが1999年から開始しており、2007年8月のブックオフオンラインのサイト開設と同時に同社に事業を移管している。

 古本販売事業は安定した買い取りで在庫を確保できなければ、成長が難しい。ブックオフオンラインは買い取り件数を1年で1.2倍に伸ばせたことで販売できる商品数を増やし、2009年1月には初の単月黒字を確保した。2009年3月期のネット販売の売上高は18億円の見込みだ。ネット販売の会員数は約50万人になった。

 ブックオフオンラインは毎月130万~140万点の古本を宅本便で個人から買い取っている。季節変動が大きい古本の買い取りは引っ越しシーズンの3月が年間のピークで、宅本便の利用も増える。2009年3月には過去最高の月間買い取り受け付け件数を記録している。多い日には、1日に2700箱もの古本入り段ボールが各家庭からブックオフオンラインの物流拠点「東名横浜ロジスティクスセンター」(横浜市)に送られてきた。手元に段ボールが無い人には段ボールも1枚150円で販売しているが、月間3000~4000枚が売れる隠れたヒット商品になっている。

 センターに40ある買い取り査定ラインでは、担当者が古本のバーコードをスキャンし、単品マスターデータベースに照らして査定価格を決定。古本の送付者に通知して、最終的な買い取りの許諾を得ている。

 センターでの在庫管理にはトヨタ流のノウハウを適用。豊田自動織機のトヨタL&Fカンパニーから指導を受けた。「買い取った順に在庫を棚に自由に置いていけるフリーロケーションや自作のピッキングカートなどを駆使して、多品種小ロットのセンターで作業効率を高めてきた」(ブックオフオンラインの平山俊介代表取締役社長)。なお、情報システムの構築はNTTデータが請け負った。

新刊の取り扱いで全巻まとめ買いサービス誕生

 宅本便で買い取った古本は、ブックオフコーポレーションの直営店にも在庫として回している。残りを1200坪あるブックオフオンラインの東名横浜センターに保管し、ネット販売する。センターには常時100万点、60万タイトルを取りそろえている。

 ブックオフオンラインの売上高はあくまでも自社でネット販売した分で、2009年1月はこれで黒字を達成したことになる。直営店に買い取った在庫を回す「社内間取引」は、ブックオフオンラインの売り上げにはカウントしていない。

 総売上高の約15~20%を占める「オトナ買い」がブックオフオンライン最大のキラーコンテンツで、会員には好評だ。大人買いとは一般には、子供のころにはまとめて買えなかった趣味の商品などを、大人になってから迷わず一気に買い集める行為を指す若者言葉だ。ブックオフオンラインはそれをカタカナ表記にし、「漫画本などの全巻一括購入サービス」として開業時から同社の目玉に据えてきた。

 ただし、仕入れが運任せの古本だけでは、全巻の在庫を常時そろえておくのは難しい。どうしても一部は歯抜けになりがちで、それがブックオフ店舗が抱える長年の課題でもあった。

 そこでブックオフオンラインはオトナ買いのサービス開始に当たり、古本から在庫検索して全体を構成しつつも、足りない部分だけは新刊を書籍取り次ぎ会社から取り寄せて「穴埋め」し、全巻をそろえて会員に合計金額を提示することにした。それでも、すべてを新刊でそろえた時と比べて、半額以下で購入できることが多いという。

 古本屋のブックオフがネット販売では新刊まで取り扱うことで、これまでにないサービスを安定して提供することが可能になった。これは大きな発想の転換で、オトナ買いは顧客に受けている。