動物病院での支払いは飼い主の全額負担が原則だ。診療内容によっては一度に10万円以上の請求が来ることもある。そんな時、アニコムのペット保険に加入していれば、窓口での支払い額が半分になるので金銭的な負担は大幅に軽減される。

 ペットは生き物だから、必ず病気やけがをする。長くペットを飼っている人ほど診療費負担の重さを知っており、ペット保険は珍重されるはずだ。にもかかわらず、ペット保険が普及しなかった一因は、従来のペット保険は飼い主が診療費を全額負担した後で診療費の一部を保険会社に請求する仕組みだったためである。これでは一時的とはいえ、飼い主の負担は大きいままだし、請求に手間がかかる。その不便さを解消したのがアニコムである。人の健保にヒントを得て開始した動物病院での窓口精算は世界初の実用例といえる。

 アニコムはもともと、旧・東京海上火災保険出身の小森社長が2000年4月に立ち上げた「無認可共済」としてのペット保険共済組合anicom(動物健康促進クラブ)から出発した。2006年4月に保険業法が改正され、無認可共済の団体は生命・損害保険会社または少額短期保険業者への移行、もしくは廃業を求められた。会社が無くなる恐れもあったが、アニコムは2007年12月に金融庁からペット保険専業としては初めて損保免許を取得した。小森社長は「正直言って、ホッとした」と明かす。

 共済時代からの加入ペット数は30万頭に達するが、この契約は2009年3月までに満期を迎える。アニコムは損保として飼い主に契約切り替えを促しており、2009年4月からは新規加入を含めて25万頭程度で再スタートを切る。アニコム損保の持ち株会社であるアニコムホールディングスは2007年3月期に売上高(経常収益)が54億円で経常損益が1億2000万円の赤字だったが、2008年3月期は売上高69億円、経常利益が2億円で黒字になった。

●アニコム損害保険の会社概要
●アニコム損害保険の会社概要

 日本には2300万頭以上のペットがいるといわれるが、ペット保険に加入しているのはわずか1~2%だ。しかし、小森社長は「少子高齢化が進めば、それに反比例するようにペット市場は伸び、ペットがますます『家族』の一員とみなされるようになる。するとペット保険も現在の10倍の1000億円市場に成長する可能性がある」と見ている。