関東、中京地区でマッサージ店33店舗を展開する
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 マッサージ店チェーンを展開するベアハグ(東京都港区)は、全店長を対象にリーダーシップを強化するグループコーチングを実施し、売り上げを増加させた。高い業績を上げる店長のコンピテンシー(行動特性)を明らかにし、コーチングのセッションを通じて店長間で共有することにより、全店舗の売り上げが研修実施直前に比べて2~5%増加するなどの効果を得た(関連記事)。

 1997年に設立した同社は、路面店やJR施設内の店舗で整体やフットセラピーのサービスを提供するほか、2008年からは埼玉県越谷市のイオンレイクタウンなどの大型ショッピングセンターに、マッサージとエステサロンなどを複合した店舗を展開している。年商規模は10億円前後、グループ総従業員数は約250人(2009年3月現在) 。出店のピッチを上げるなか、店長のマネジメント能力を高めることが急務となっていたが、「部下の管理方法などをマニュアル的に押し付けるのではなく、自発的に部下の育成に取り組むようにしたいと考え、コーチングに注目した」と稲川貴久社長は語る。

 2008年9月に開始したグループコーチングでは、コーチ・トゥエンティワン(東京都千代田区)が提供する「LDI(リーダーシップ・ディベロップメント・インテンシブ)」を採用した。33人の店長を6組のチームに分け、4カ月で12回のセッションを行った。コーチングセッションに先立って、まず全社員が自分の上司である店長のリーダーシップを21項目で評価するアセスメントを実施した。その中で部下からの評価が高く、業績も良好な店長にインタビューを行って、仕事の進め方や、部下とのコミュニケーションにおいて注意しているポイントを洗い出した。グループコーチングのプログラムでは、コーチングの基本スキルと一緒に、これらの好業績店長のノウハウを学んだ。

稲川貴久社長も起業当時からコーチングを活用している。アルバイト社員を正社員に登用して技術力を習得させるなど、不況を成長のチャンスととらえる

 今回の研修を支援したコーチング研究所LLP(東京都千代田区)の日田真澄ビジネスコーチは「組織によってどのようなリーダーシップが効果を発揮するかが異なる。その企業特有のリーダーシップ・コンピテンシーを抽出して、全社で共有するのが効果的」と解説する。ベアハグで高い業績を挙げているリーダーからは、高度なマッサージの技術を有することに加えて、「部下の育成意欲が高い」「管理職同士の信頼関係が構築されている」「部下とインフォーマルな会話をする」といった項目が抽出された。「ベアハグには若い社員が多く、上司から技術を学ぼうという意欲が強い。職場での親密なコミュニケーションがモチベーションの源泉になっている状況が推測できた」(日田コーチ)

 グループコーチングでは、座学でコミュニケーションスキルを学ぶことに加え、毎回コミュニケーションの課題を出して、次回のグループセッションまでに実践することを課した。例えば「管理職同士の信頼関係が構築されている」というコンピテンシーを身につけるため、副店長と毎日コミュニケーションの機会を持つなどだ。次回のセッションで各店長が実践結果を報告し、店長同士でアドバイスし合った。好業績を挙げている店長から刺激を受けたり、そのノウハウを共有したりする場にもなったという。

 「『背中を見て学べ』というタイプの店長が、部下との会話を積極的に持つようになった」「部下に注意する時も、感情をむき出しにせず、期待を伝えられるようになった」など、店長の行動が変わる例が増えた。不況のなかでも店舗の売り上げが増加するなど、「一定の手応えを感じる成果を得た」と稲川社長は話す。