オリエントコーポレーション(オリコ),クレディセゾン,ユーシーカード(UCカード)の情報処理会社のキュービタスの3社は,クレジット・カードの利用可否を承認(オーソリゼーション)する新システム「AURORA」を共同で開発。2008年3月から順次稼働させ,共同利用を開始した。

 このシステムで処理できる年間の利用可否の承認件数は14億件。オーソリゼーション用システムとしては,日本最大級の処理件数になる。処理の対象にしているデータは,クレジット・カード決済をしている店舗やECサイト,キャッシング機能を備えるATM(現金自動預け払い機)などから送られてくる。AURORAは,クレジット・カード利用者が決済したりキャッシングしたりするときに,カードが利用可能かどうかを判断して,結果を送り返す。

 AURORAは2008年3月の1カ月間で,順次稼働させた。まず3月10日,キュービタスで利用を開始。その後,3月24日にオリコ,3月31日にクレディセゾンで利用を開始した。「各社での稼働も無事に済ませることができた。現在も順調に稼働している」と,新システムの開発に携わったキュービタスの磯貝和久氏(戦略システム推進部 プロジェクト推進グループ シニアマネージャー)は話す。

利用したい機能や処理はパラメータで設定可能

 AURORAの特徴は,クレジット・カード会社などのシステム利用企業が,利用したい機能を,テーブルやパラメータで自由に設定できるようにしたこと。例えば「利用可否の審査をするとき,どのような項目を審査の対象にするか」「審査結果を返す際,どのようなメッセージを返すか」などを設定できる。「今後,AURORAを他のクレジット・カード会社が利用することになったときにも,その会社の審査業務に沿って柔軟に設定可能だ」と,磯貝氏は説明する。

 また,審査のときに参照するAURORAのデータベースには,百貨店などが自社の店舗限定で利用可能という条件で発行している「ハウスカード」を登録できるようにした。具体的には,AURORAで管理するカード番号の桁数を,変更できるようにしてある。通常,クレジット・カードの番号は16桁。16桁以外の番号を割り振ったハウスカードでも,AURORAで管理できるようにした。

レスポンス低下防ぐように設計

 AURORAの設計では,処理性能にも配慮した。「オーソリゼーションの処理が滞ると,商品の決済処理が長引くなど,カードを利用する顧客に大きな影響を及ぼすため」と,開発に携わったキュービタスの村田久士氏(システム開発部 アプリ開発2グループ 課長)は説明する。

 そこで審査結果を返すレスポンスを低下させない工夫を施した。サーバーで処理する際に,「審査結果を返す処理」「ログを出力する処理」を別々のプロセッサで並行させて,審査結果を返す処理が滞らないようにした。

 AURORAのサーバーとして採用したのは,日本ヒューレット・パッカードのフォールト・トレラント機「HP Integrity NonStop サーバ」。無停止で運用できるようにするためである。「深夜であっても,ECサイトやTVの通信販売などで,クレジット決済が利用されることがある」(村田氏)からだ。

 サーバーは冗長化構成を取り,瞬時にフェールオーバーできるようにした。また,一部のプロセッサやディスクの高負荷が原因で,処理性能が低下することを防ぐため,分散処理できるようにチューニングしてある。

 AURORAのシステム開発の検討が始まったのは2005年5月。以後,オリコ,クレディセゾン,キュービタスの担当者による要件定義をおよそ半年かけて実施。仕様を詰めた後,1年半ほどの期間を開発/テストに当てた。2007年12月からの3カ月間で,実際にカードを利用してオーソリゼーションが正しく行われるかなどの最終確認を実施した。AURORAの開発作業と運用は,NTTデータが担当している。