2013年に創業100周年を迎えたネスレ日本。外資系で日本進出時から国内工場を持つ企業としては最も長い歴史を持つ。そんな老舗企業は今、営業利益率15%のスイス本社をしのぐ超高収益企業となった。「ジャパンミラクル」と本社から賞賛され、ネット直販などビジネスのイノベーションでも本社や日本企業の先を行く。高岡浩三社長にその戦略を聞いた。

(聞き手は木村 岳史=日経コンピュータ 編集委員)

ネスレグループにおいて、日本法人は業績面などでどのような位置づけですか。

高岡 浩三(たかおか・こうぞう)
1983年に神戸大学経営学部卒業、同年にネスレ日本入社。各種ブランドマネジャーなどを経て、ネスレコンフェクショナリーのマーケティング本部長として「キットカット」受験生応援キャンペーンを成功させる。2005年にネスレコンフェクショナリー代表取締役社長に就任。2010年にネスレ日本の代表取締役副社長飲料事業本部長として新しいネスカフェ・ビジネスモデルを提案・構築し、高収益企業の土台をつくる。同年11月より現職。1960年3月生まれの53歳。(写真:陶山 勉)

 日本法人は長く「アジア、オセアニア、アフリカ」の稼ぎ頭でした。今でも日本は重要な市場で、トップ15の一つです。これは利益で見たランキングです。売り上げではなく、稼いでなんぼの世界なのです。そして、この15の子会社の経営トップはスイス本社の執行役員を務めます。私も執行役員の一人です。

 ちなみに、この15人は年2回だけ本社の執行役員会議に参加して、各市場の大きな課題などについて議論します。普段の本社の経営は、常駐する13人の執行役員で執り行っています。全世界に33万人もの従業員がいる巨大企業ですが、考えられないくらいの少人数で経営しているわけです。

ネスレは全世界規模で情報システムを統合しましたが、それが少人数の役員による経営の基盤になっているわけですね。

 その通りです。極めて広範囲にわたる市場の状況を少人数の役員で日々管理するためには、世界共通のITの仕組みが必要です。

 そこで本社は、15年以上前に「GLOBE」と呼ぶプロジェクトを立ち上げました。国ごとに異なっていたシステムを、SAPのERP(統合基幹業務システム)を採用して完全に一つのシステムに統合するもので、各国に順次導入してきました。投資額は2000年から2005年で3000億円に達します。

 GLOBEはシステムだけではなく、業務のオペレーションも全世界で共通のやり方に統一しようというものです。結果として本社は、どの国がコスト高で、その原因は何かといった分析ができるようになり、年間数千億円単位のコスト削減を実現しました。

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