第3のモバイルOSとして注目を集める米Mozillaの「Firefox OS」。Webブラウザー「Firefox」で使われているレンダリングエンジン「Gecko」をアプリの実行環境として使うオープンソースのOSだ。KDDIやスペインのテレフォニカなど世界の大手通信事業者が続々と支持を表明するなど、今年のMobile World Congress 2013の話題をさらったが(関連記事)、そもそもFirefox OSを提供するMozillaとはどのような団体なのだろうか。日本の窓口であるMozilla Japan 代表理事の瀧田佐登子氏に聞いた。

(聞き手は、大谷 晃司=ITpro


Firefox OSがiOS、Androidに続く第3のOSとして注目を集めています。iOSは米Apple、Androidは米Googleが提供していますが、Firefox OSは非営利団体のMozilla Foundationの下で展開されています。そもそもMozilla Foundationとはどのような組織なのでしょうか。

Mozilla Japan 代表理事 瀧田佐登子氏(右)とテクニカルマーケティング 浅井智也氏
Mozilla Japan 代表理事 瀧田佐登子氏(右)とテクニカルマーケティング 浅井智也氏

瀧田氏:まず、その成り立ちからお話しましょう。1990年代の始めにインターネットの商用利用が始まり、一般の方も95年頃からインターネットを利用し始め、Webブラウザーの存在価値が出てきました。そのころ(1994年)に設立されたのが、Webブラウザー「Netscape Navigator」を提供するNetscape Communicationsです。シリコンバレーのベンチャー企業の“走り”と言えます。

 Netscae Navigatorの対抗馬として出てきたのが、米MicrosoftのInternet Expolorerです。その争いは当時ブラウザー戦争と呼ばれていましたが、結果としてNetscapeはその戦いに負けました。ただ、当時はWebブラウザーが違うと動かない機能があるといった状況で、ユーザーにとっていい環境ではありませんでした。そうしたなか、98年にNetscape Communicatorがソースコードを公開しました。そしてNetscapeの出資によってmozilla.orgが設立されました。

 当時はWebブラウザーのシェアはMicrosoftが高く、我々は一時数パーセントにまでシェアを落としました。ただ、そうなってもWebの技術が分断され、標準化されていないような状況をなんとかしなければならないとの思いを持ち続け、2003年くらいまでやってきました。

 そうした流れの中、オープンソースのWebブラウザーをAOL/Netscapeという企業のコントロール下ではなく、外部に出し、独立した組織として運営していこうといった動きが出てきました。AOLや、Lotus Development(設立時)の創業者の一人であるミッチ・ケイパー氏、米IBMといった企業から寄付を得て、2003年に非営利のニュートラルな組織として生まれたのがMozilla Foundationです(関連記事:米mozilla.org,Mozilla開発のための財団を設立)。

ニュートラルになって何が変わったのでしょうか。

瀧田氏:ニュートラルになるとコミュニティの人数が急激に増えました。誰かにコントロールされていたように見えていたものが、そうではなくオープンな組織になった。技術者だけのものではなく、使う人もいっしょになって物作りができる体制になり、そうして2004年にWebブラウザーのFirefoxが生まれました(関連記事:オープンソース軽量WebブラウザFirefox1.0が正式リリース)。

 実際、2004年にFirefoxが出たとき、いわゆる“ギーク”な人、エンジニア層が使うものと考えられていましたが、一般のコンシューマーがすごくダウンロードしてびっくりしたことを覚えています。それはなぜか。背景にはブロードバンドなどインターネットの利用環境の発展もあるし、ユーザーが自分で製品を選別する目を持ちだしたということもあります。ただやはりユーザーに新たな選択肢があることを示せたことが大きい。

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