写真1●チームラボと大阪大学 菅本一臣教授が共同開発した人体解剖アプリ「teamLabBody」
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 チームラボは2013年3月21日、iPad2以降やiPad miniに対応する3D人体解剖アプリ「teamLabBody-3D Motion Human Anatomy-」(以下teamLabBody)の販売をAppStoreで開始した(写真1)。大阪大学整形外科、大阪大学大学院医学研究科、運動器バイオマテリアル学の菅本一臣教授が10年以上かけて研究し、取得した、生きた人間の骨格の動き・人体の形態を忠実に再現した点が最大の特徴だ。医療電子教科書としての利用のほか、ヘルスケア関連や芸術関連などでの利用を見込んでいる。

 この「生きた人間の骨格の動き」を取得するには医療とITの密接なかかわりがあった。そしてイノベーションということを考えるうえでも参考になる事例だ。teamLabBodyの共同開発者でもある大阪大学の菅本一臣教授(写真2)にその再現に至った経緯などを聞いた。

(聞き手は大谷 晃司=ITpro


「生きた人間の骨格の動き」とはどういうことでしょうか。

写真2●大阪大学運動器バイオマテリアル学教授の菅本一臣教授(右)と、実装に携わったチームラボ Technology Div. User Interface Team User Interface Architect 杉野裕則氏
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 まず、我々が何をしてきたかをお話します。私は整形外科の医者を30年やっていて、今でも外来で診察したり、手術したりしてます。我々がやってきた研究が、ラッキーなことに阪大(大阪大学)の整形外科の治療を根底から変えたんです。すべてが変わったんです。手術の計画の仕方、手術方法、その評価、そしてなぜその病気が起きたんだろう、という様々なことを明らかにすることができました。しかも、すべてが世界のオンリーワンの技術を使って何千人という方の治療をお手伝いしたきたのがこの15年。この成果を取り入れたのが「teamLabBody」というアプリです。

 例えばこんなことがありました。「膝が痛い」という患者さんがいて、軟骨がすり減っていた。そこで「手術をしましょう」ということになった。この手術は、例えば虫歯の場合は削って金歯をかぶせるように、骨の場合も表面に金属をかぶせています。

 ただ歯と違うのは、膝の場合、体重がかかると金属が傷んでしまう。そこで、間にポリエチレンのクッション材がはまっている。だから一見レントゲン写真で見ると金属と金属が浮き上がったように見えていますが、間にプラスチックみたいなものが詰まっています。