Linuxの創始者、リーナス・トーバルズ氏へのインタビューの第2回。「Linuxはなぜここまで普及し」という質問に対し、トーバルズ氏は「一つは時期、もう一つは新しいOSが欲しいと思う “特殊な”人がたくさんいたことではないか」と語った。(聞き手は谷島宣之=日経コンピュータ編集長、中井奨=日経コンピュータ編集、高橋信頼=ITpro編集)

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長期計画はあえて立てない

 私は長期計画を立てるよりも、物事を徐々に良くしていくアプローチをとってきましたし、今後もそうしていきます。まあ、少なくともこれから2年間は良い仕事ができると思いますよ。

 最近、「Linuxは肥大化している」と発言され、話題になりました。これは、Linuxが複雑になっていて見直しが必要という意味ですか。

 二つの意味があります。一つは、Linuxのプロジェクトを始めた19年前に私が予想もし得なかった状態に今のLinuxはなっている、ということです。小さなカーネルだったLinuxがこれほどのものに成長するとは正直なところ思ってもいませんでした。

 私たちはたくさんのことをやってのけ、幅広い市場でLinuxは利用されるようになり、その結果、これまで経験したことがなかった仕事をしなければならなくなりました。今日、Linuxカーネルのコードは1200万行もあり、デバイスドライバは数千もあるのです。

 誤解してほしくないのですが、間違った方向に進んだというわけではありません。ただ、Linuxのコードをフロッピーディスクに保存できて、プロジェクトが今よりずっと小規模だったあのころを時折思い出すのです。

 もう一つは、一人の開発者としての意見です。Linuxの利用者から常に「新たな機能を追加してほしい」という要請があります。ただし、一度機能を追加してしまうと、後戻りするのは難しい。したがって、新たに追加しようとする機能が本当に必要なものかどうか、不安になることもある、という意味です。

Linuxの将来は。

 これまでのLinuxの仕事は、私にとってすごく楽しいもので、とても満足しています。Linuxの利用者がどんどん増えていき、私が思いもしなかったような利用方法が出てきて、新たな発見がいつもあります。

 5年前に逆戻りしたいとは思いません。今後もLinuxの開発を続けていくつもりです。5年後にはもしかしたらハードウエアの開発をしているかもしれませんね。ただ、先ほどお話しした通り、私自身はあえて5年先の計画を立てたりはしませんが。