米アドベントネットは,Webブラウザから使える業務アプリケーション群のサービス「Zoho」の提供事業者だ。多数ある同種のサービスの中では,アプリケーションの種類の多さなどで違いがあるという。来日したベンブCEOに,多数あるサービス品目や今後の開発計画について聞いた。

(聞き手は山崎 洋一=日経コミュニケーション



Webブラウザで使える業務アプリケーションのサービスは増えているが,それらの中で特色はどこだと考えているか。


米アドベントネットCEO(最高経営責任者) シュリダー・ベンブ氏
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 同様のサービスは,米グーグルなど他社も提供している。それらの中でZohoは,サービスで提供するWebアプリケーションの深さと広さ,フル機能を追求している点で違いがあると思う。

 例えばZohoではワード・プロセッサ,表計算,プレゼンテーションをはじめとして,マイクロソフトのOneNote,Access,Outlookに相当するもの,プロジェクト管理やCRM(顧客情報管理),Wiki,チャットなどが多数そろっている。その種類は今後さらに増やしていく。少し前に,こうしたアプリケーションのラウンチパッドに相当するサービスも公開した。

 個人利用は無料。今後も無料にするつもりだ。一方で法人には,月額あるいは年額で課金していく。個人利用を無料にするのは,そのほうが早く普及するから。個人で使って(気に入れば)ビジネスでも使い出すケースがある。

サービスを開発していく上で重視していることは何か。

 最も大事なことは「Trust」だ。つまり信頼がいちばん重要。ユーザーは銀行にお金を預けるのと同じように,データを我々のサービスに預けるからだ。

 二つめに,シームレスであること。オフィス・ソフトを使うとワード・プロセッサ,表計算,グループウエア・クライアントと,いろいろアプリケーションを起動することを考えながら仕事しなくてはならない。しかし当社のサービスは,一回起動すればそれで仕事に集中できる。ノート・パソコンが故障してしまっても,オンライン・サービスを使っていれば(ほかのパソコンを使って)仕事を続けられる。

 最終的に,ユーザーがアプリケーションを使うために「どこに何があるか」を考えなくてはならないケースがゼロに近づき,仕事で何をしたいか考えるだけでそれを実行できるようにしていきたい。

最近出した企業向けメニューの概要を教えてほしい。

 企業向けの「Zoho Business」を発表済みだが,これは中小企業向けにアプリケーションをパッケージングしたサービスだ。ユーザー企業の自社ドメインで利用できる形で,我々がホスティングする。2008年1月にパブリック・ベータを開始する予定だ。料金は1人あたり年額40~50ドル程度になるだろう。ほかに,教育機関向けのパッケージ・サービスも計画している。

 もう一つ,2008年1月にパブリック・ベータを始める予定のサービスとしてメール(Zoho Mail)がある。このサービスでは,3通りの方法でメールを利用できるようにする。ユーザーが取得済みのPOPアカウントを見にいく方法,ドメインを取得してあげる方法,そしてマイクロソフトのHotmailのようにドメイン(zoho.com)を提供する方法だ。現時点では,POPアカウントを見にいく方法だけ対応済みだ。

今後サービスをどのように進化させていくつもりか。

 Zohoは「Webをプログラミングする」こと,つまりビジネス・アプリケーションをWebブラウザ上で作ることを目指している。これは既に「Zoho Creator」というWebアプリケーションの構築ツールを使うことで可能になっている。

 今後は,Zohoをプラットフォーム・サービスにしていきたい。米フェースブックが「Facebook Platform」を作り,米セールスフォース・ドットコムが「AppExchange」を作ったようにだ。プラットフォームを作ることで,既存サービスの上にカスタマイズしたビジネス・アプリケーションを構築できるようになる。先ほど紹介したZoho Creatorが,このプラットフォームにおける開発環境,開発ツールになる。まず来年4月以降に,オンラインのデータベース作成ツールである「Zoho DB & Reports」と統合する計画になっている。