福井県の鯖江(さばえ)市は眼鏡フレームの95%を生産する町として知られる。みなさんがかけている有名ブランドの眼鏡フレームは、鯖江市でほぼ作られている。同市で1968年に設立された西村金属もやはり眼鏡フレームを製造していたが、Webでの情報発信によって「チタン加工」へと大きく業態を転換(写真1)。経済産業省が主催する「中小企業IT経営力大賞2012優秀賞」を受賞した。同社が業態転換を決断した背景や業態転換に際して行ったIT活用、さらには経営力大賞受賞を支援したITコーディネータとのかかわりを紹介したい。

写真1●西村金属の社屋
写真1●西村金属の社屋

「このままでは明日がない!」と厳しい現状を直視

 西村金属が業態を転換した背景は、国内における眼鏡市場の縮小である。国内需要の低迷によって主要メーカーの工場が海外へ移転したほか、海外の眼鏡部品メーカーとの市場競争も激化した。加えて、顧客の嗜好が変化・多様化している。眼鏡フレームは機能性より個人の嗜好に合わせたデザイン性が重視されるようになり、多品種少量・微量の需要に対応する生産体制へ変化せざるを得なくなっている。

 市場の変化に対応するためには、これまでのように営業担当者が取引先を回るような方法での新規顧客開拓には限界がある。営業担当者の人数もわずかだ。厳しい現状を直視すればするほど、経営資源を集中して、眼鏡フレーム以外の新規事業に活路を求めるしかないことが分かってくる。そこで西村金属は、眼鏡業界以外の新規顧客獲得の実現を最重要課題と位置付け、Webを活用したIT化を推進する。

 こうした決断をしたのは同社の西村昭宏常務取締役である。同氏は以前、東京でSEの仕事をしていたが、父親である西村忠憲社長(当時、現在は西村憲治社長)、から「家業を手伝え」との指示を受け、後ろ髪を引かれる思いで鯖江市へUターンした。結果としてWebを活用したIT化による業態転換は成功し、西村金属は大きく成長していく。

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