アラン・ケイが1972年8月に執筆した「すべての年齢の『子供たち』のためのパーソナルコンピュータ(A Personal Computer for Children of All Ages)」の全文を掲載する連載の第3回目。いよいよ未来のパーソナルコンピュータDynaBookについて具体的な姿を解説している。目標価格は500ドルで、重さは4ポンド(1.8kg)を下回り、4000文字を表示できることをうたっている。(ITpro編集部)


「発生的認識論」

DynaBookのプロトタイプを持つアラン・ケイ(2008年11月5日) "Alan Kay and the prototype of Dynabook,pt.5" by Marcin Wichary is licensed under CC BY 2.0
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 ピアジェのライフワークは広大で奥深いため、上辺だけの要約を寄せ付けません。すでにいくつかの要約や批評( たとえば、Hans G. Furth,Piaget and Knowledge:Theoretical Foundations, NewJersey: Prentice Hall 1969)が存在するので、ここではより厳選したものだけを取り上げるのが適切でしょう。

 ピアジェの基本概念のうち、次の二つがコンピューターサイエンティストの視点から見て魅力的です。

 一つは、特に幼い子供の場合、知識は一連の操作モデルとして獲得され、それぞれのモデルはいくぶん場当たり的で他のモデルと論理的に一貫している必要はないというものです(それらは論理的公理や定理などではなく、本質的にはアルゴリズムやストラテジーと呼ぶべきものです)。論理が使用されるようになるのは発達段階のずっと後で、その段階でも論理を超えたストラテジーが使われ続けます。

 二つめの概念は、発達が(文化的な環境からは独立しているように見える)一連の段階に沿って進むというものです。それぞれの段階は前段階を土台として構築されますが、認識や一般化、因果関係の予測などの能力で大きな違いが見られます。それぞれの段階に達する年齢は子供ごとに大きな違いがあるものの、ある段階がその前段階に明らかに依存しているという点は変わらないようです。その後、重要になるもう一つのポイントとして、言語は思考の女王ではなくむしろ侍女であり、ピアジェなどによれば、そのような思考は言語によらない映像的なものだそうです。

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