多重下請けや法令無視といった慣行が染み付いた日本のIT業界。

 ここに「2015年問題」というIT技術者不足とその後の人余りが襲い掛かる。

 この問題を、むしろ絶好の機会としてとらえ、悪弊の連鎖を断ち切る覚悟がユーザー企業にもIT企業にも求められている。

 「北海道から九州まで、受託案件が増えているのは間違いない」。中小IT企業とIT受託案件のマッチングを図る日本情報技術取引所(JIET)の役員はこう語る。

 IT業界、特に企業向け情報システムのシステムインテグレーション(SI)を手掛けるIT受託の業界が今、好況に沸いている。リーマンショックや東日本大震災で凍結していたプロジェクトが再始動し、幅広い業界でIT投資が増えているのだ。「PHPやJavaプログラマーへの引き合いが強い。Day2(2008年までに2500億円を投じた、三菱東京UFJ銀行の勘定系システム統合プロジェクト)の頃よりIT技術者の不足感は高い」(リクルートスタッフィング執行役員の田中智己氏)。

 2014~15年には、IT受託の需要はさらに高まる見込み(図1)。みずほ銀行のシステム刷新や番号制度(マイナンバー)などの案件が集中しているためだ。あるIT派遣業者は「みずほ銀行の件では、大手ITベンダーから『2014年春から2年間、5000人の技術者を確保したい』として、Javaプログラマーの大量供給を求められている」と明かす。IT技術者の派遣に顧客が支払う単価も1割ほど上昇しているという。

大規模プロジェクトが集中する「2015年問題」がもたらす最悪のシナリオ
図1●2014~2017年における金融・公共系大規模プロジェクト
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 だが、この好況は長くは続かない可能性が高い。これらに続く大規模なシステム開発案件が見当たらないからだ。IT調査会社、ITRの内山悟志代表取締役は「みずほ銀を最後に、大手都銀の勘定系システムの刷新は一巡した」とみる。「製造業など他の業界のIT投資は持続するが、2000億~3000億円を投じる金融系と比べればケタが一つ落ちる」(同)。

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