従来のやり方が環境の変化によって通用しなくなることもあれば、環境が変化したことによってある考え方がこれまでになく注目を集めるようになるといったこともあります。ソーシャルメディアが登場し広く普及したことで、世の中にこれまであったすべての考え方や手法が否定されるわけではありません。

 今回はソーシャルメディアの活用にあたって最も重要な役割を果たすようになった「コンテクスト」(「文脈」、「背景」といった意味)について解説していきます。

顧客価値の追求を阻害する開発者の思い入れ

 “マーケティングの神様”とよく評される米国の経営学者フィリップ・コトラー氏は「企業は“作って売る”から“(ニーズを)感じ取って満たす”へ発想を転換しなければならない。顧客価値を広い視点で捉えなければならない。そして、顧客にとって最も便利なやり方でニーズを満たさなければならない。顧客が最小限の時間とエネルギーで製品・サービスを探し、注文し、受け取れるようにすべきなのだ。※1」と述べています。それはソーシャル時代のいまにも充分に当てはまる示唆です。

 コトラー氏は顧客のニーズ(必要性)とウォンツ(欲求)を満たすことがマーケティングであり、ソーシャルメディアの普及によってその発見の可能性は高まったものの、顧客価値に沿ったストーリーをつくりだすことが難しいのは変わらないと指摘しています。

 顧客価値に沿ったストーリーの作成を難しくしているのは、顧客の代弁者となるべきマーケティング部門が“大人の事情”から、顧客を第一に考えられなくなっているからです。その大人の事情の一つとして挙げられるのが「開発者の思い入れ」です。

※1「コトラー 新・マーケティング原論」(翔泳社刊)

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら