国内の通信事業者が競って顧客獲得に巨額の費用を投入する中、海外の事業者からは新たな端末販売戦略が次々と生まれている。例えば米T-モバイルUSの「アンキャリア」戦略は「継続利用シバリなし、端末割引なし」というもので、ポストペイド契約者の大幅純増につながった。こういった特徴的な海外事例を紹介する。

 NTTドコモの「ツートップ戦略」をめぐって様々な意見が噴出したが、これを通信事業者にとっての観点で語るのか、端末メーカーの観点で語るのかで、トーンはかなり異なる。それほど通信事業者の端末販売戦略は、この産業のエコシステムに与える影響が大きい。

日本は通信料金に還元するスタイル

 2007年に総務省が設置した「モバイルビジネス研究会」の報告において、通信事業者に対し端末価格と通信料金の区分の明確化が求められた。その結果、それまで日常的な販売形態であった「1円端末」は一旦店頭から姿を消し、事業者の端末販売スタイルは「分離プラン」(端末価格は値引きなし、通信料金が安い)が中心となった。以降、端末購入費用は大幅に高くなり、利用者の端末買い替え周期は長くなった。

 国内の携帯電話販売数は大幅に落ち込み、「官製不況」とまで言われたが、ソフトバンクモバイルに限っては先に提供を始めていた新たな端末提供形態「新スーパーボーナス」で、長期契約を前提に、端末購入価格に応じて月々の通信料金の値引きを実現していた。2011年3月にはNTTドコモが「月々サポート」を導入するなど、国内での端末販売形態はこのスタイルが主流となり現在に至っている。

 欧州では逆に、通信料金プランのグレードに応じた端末割引は一般的である。特にポストペイドのプランには、グレードが上がるほど端末価格を優遇するスタイルはよく見られる。例えばドイツのT-モバイルや英オレンジ、英O2といった通信事業者がそういったプランを提供している(表1)。

表1●海外における料金プランのグレードに応じた端末割引の例
いずれも2013年8月時点。
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「端末割引なし、継続利用期間なし」

 米国では別の新たな動きが見られた。市場シェア第4位のT-モバイルUSが2013年2月に発表し、今春から本格導入した「アンキャリア(uncarrier)」戦略だ。

 端的にいえば、「継続利用シバリなし、端末割引なし」の提供スタイルである。継続利用を条件としないことで、利用者へ「気に入らなかったら、いつでも他の通信事業者に乗り換えられる」という安心感を訴求している。

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