駐車場と言えば、地主が土地を有効活用する不動産関連ビジネス。かつてこんなイメージが強かった駐車場事業を、ITビジネスに進化させたのが、パーク24の「タイムズ」だ。駐車場を時間単位で貸し出し、運営状況をITシステムで管理する。その数は今や全国1万2000カ所に及ぶ。

 システムは社内で「TONIC(トニック)」と呼ばれ、まさに駐車場版POS(販売時点情報管理)として、駐車場ごとの満車・空車情報をリアルタイムに集約している。収益を最大化するため、駐車場の稼働率だけでなく、駐車場ごとの損益について仮説・検証を繰り返している。

 ドライバーは目的地のタイムズについて、満車・空車情報を受け取れる。クレジットカード決済やポイントサービスもある。

 稼働率の低い駐車場ならば、割引券を配ったり、料金を下げたりといった販促策を取る。また常に満車でも対策を考える。「あそこに行っても空きがない」という印象が広まると、長期的に見て客足が遠のくからだ。

パーク24の川上紀文取締役執行役員は、駐車場事業にデータ分析をいち早く取り入れた

 TONICのこうしたデータ分析と対策を支えているが、その司令塔であるCIOである川上紀文取締役執行役員は「予測・先読みができることも強み」と話す。というのも運営データを蓄積することで、稼働状況が読み取れるため。駐車場が飽和状態にあるのか、それとも足りないのか、市場動向を見極めて、次の手を打つ。駐車場が足りない地区の案件開拓を優先したり、飽和が近ければ小さい規模を開拓したりするといった具合だ。営業担当者もこうしたデータを得ることで、「この地区は特に力を入れよう」と仕事の優先順位が分かる。

 増収増益を続けて好調な経営が続く中で、データ活用の幅はさらに広がっている。最近は事業を多角化。レンタカーサービスや、会員登録すれば15分単位でクルマを利用できるカーシェアリングサービス「タイムズプラス」、クルマの事故・故障に対応するロードサービスも手掛ける。それらにTONICの仕組みや考え方を応用する。

 タイムズプラスの場合、クルマの予約や利用状況などに関するデータを集め、「稼働率ゼロ」であることが分かったら、利用がない時間帯を使ってクルマのバッテリーに問題はないかどうかを素早く現場でチェックする。事業の特性に応じて、集約したデータを分析し、改善に役立てる。

 特に都心部においてはクルマで外出した際に効率よく駐車場を見つけることがドライブの快適さを左右する。それだけにデータ分析から新たなサービスを生み出すのが川上執行役員にとって、大きな課題となる。

 今後は、サービスの連携を強める。カーシェアリングサービスを利用している顧客に、車載器を経由して、好みの情報を送る。または「ちょっとクルマを止めたい」といった顧客に対しては、クルマの緯度経度情報から、付近の駐車場の満空情報を提供するといった具合だ。

 データによって駐車場を管理から分析、さらに予測へ。さらなる進化を目指す。

出典:日経ビジネスオンライン 2013年9月20日
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