固定通信事業者の英BTが消費者向けモバイル市場へMNOとして参入する。その戦略は既存のモバイル事業者と一線を画する。中でも注目に値するのが、自社のブロードバンド回線にLTEスモールセルを組み合わせて提携事業者へ展開すること。固定通信はもちろん、モバイル業界を変える可能性がある。

 英国の固定通信事業者BTは2013年2月に実施された周波数オークションにおいて、2.6GHz帯の周波数免許を落札した。落札の狙いについては様々な憶測を呼んだが、同社はその後、この周波数を使ってモバイル通信市場に乗り出すことを明言している。BTの戦略自体も注目に値するが、そこから読み取れるモバイル通信市場および通信事業者の今後について考察する。

消費者向けモバイル市場に参入意向

 2013年2月の周波数オークションでBTの落札額は約1億8600万ポンドだった。これは、落札した5社の中で最も少ない額である(表1)。BTはこれまでMVNO(仮想移動体通信事業者)として、法人向けのモバイル通信サービスを手掛けてきた。今回の免許落札を受けて、自社でSIMを発行し消費者向けに小売事業を行うとしている。

表1●2013年2月の英国周波数オークションの結果
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 BTは、自社でのモバイル通信網構築に当たって、都市部とインドア(屋内)におけるエリアカバーに特化する考えを明らかにしている。マクロセルを自前で全国に設置するのではなく、エリアカバーは既存のモバイル通信事業者との提携により実現するという。発表資料によれば、「提携先のマクロネットワークにシームレスにローミングする」とされている。

 その一方で、提携先のモバイル通信事業者(1社とは限らない)には自社網の卸提供の門戸を開放(オープン)するともしている。都市部やインドアにおけるモバイルデータトラフィックの急増対策として、BTがこれから整備する通信設備を活用してもらおうというわけだ。他社網を借りるローミング費用を、自社網を貸し出す際の収入で相殺する、もしくはそれ以上の収益増を狙うということであろう。

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