企業システムでもカイゼン型開発に取り組んでいくべきである。先進10社の取り組みを「短期サイクルの創出」「役割連携の強化」「ブレ抑制の枠組み」という三つのアプローチに分けて紹介しよう。

(1)短期サイクルの創出

 最初に紹介するアプローチは、「短期サイクルの創出」だ。前回で、カイゼン型開発に必要なことの一つを、「改善サイクルが短期間で回る」とした。システムに機能を追加したり変更したりするときに、そのサイクルを極力切り詰めることが、不可欠なのだ。以降でその実践例を紹介する。

<良品計画>MDシステム:1日で要件をまとめ上げる

 自社ブランド「無印良品」を展開する良品計画は、2006年12月に再構築したMD(マーチャンダイジング)システムに、各種機能を次々に付加し続けている。例えば新ジャンルの商品を取り扱うときには、その商品に合わせた調達機能や販売計画機能を加えている。

 ユニークなのは、そうした機能追加が必要になると、開発チームと利用部門の担当者チームが集まり、開発チームが作成した入出力イメージに意見を出し合って修正しながら、その場で業務プロセスと要件を図にまとめ上げること(図1)。MDシステムは、利用部門が商品企画から開発、製造、物流、販売まで多部門にわたる。そのため普通に要件定義を進めると、関係者にヒアリングして、要件の擦り合わせをしているうちに1~2カ月たってしまう。

図1●1日で要件をまとめ上げる
良品計画は、改善案件が生じると関係者が集まって話し合い、要件が7割程度固まったら見切り発車して開発に取り掛かるやり方で、改善サイクルを1カ月ほどに抑えている
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 一方、同社が扱う商品は季節ごとに大きく変わり、業務も細かいレベルで日々変わる。月単位の時間をかけて要件定義をしていたのでは、業務との隔たりが広がって、利用部門の担当者の参画意識がどんどん薄らいでしまう。

7割の完成度で見切り発車

 そこでMDシステムの開発チームは、関係者が概ね固まったと感じた「7割の要件」で見切り発車して、作り始めるように改めた。要件定義作業が長引かないようにし、1日で終わらせることをルール化したのだ。1日で要件をまとめたら、開発チームは1日~数日、規模が大きいときでも2週間ほどで新機能を作り上げる。それを利用部門の担当者が数日~2週間試して修正点をあぶり出し、開発チームがすぐ反映するという作業を2~3回繰り返す。

 この短期サイクルを作ったことで、業務に密着する機能を次々に追加できるようになった。小森孝氏(常務取締役 情報システム担当部長(兼)業務改革部、カフェ・ミール事業部 管掌)は「開発サイクルが短いと利用部門の担当者の参画意識が高まり、開発チームとの関係が自然と良くなる」と話す。

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