日本経済新聞や朝日新聞、NHKなどが2013年9月6日、NTTドコモがこの秋から米アップルの「iPhone」を発売すると報じた。NTTドコモは即座に「本日、一部報道機関において、当社がアップル社のiPhoneを発売する旨の報道がありましたが、当社が発表したものではございません。また、現時点において、開示すべき決定した事実はございません」というお決まりのコメントを出した。

 確かにここ数日(特に昨日)、業界関係者の間でドコモの動きについて様々な噂が流れていた。これまでもタイミングごとに「ドコモがiPhoneを発売する」という噂は流れてきたが、筆者の感触で言えば、今回はかなり確度が高いと感じている。ここでは、このまま米アップルとドコモの交渉がまとまり、ドコモがiPhoneを扱った場合の国内の携帯業界へ与える影響を整理してみたい。

タイミングは今しかない

 まずドコモが直面している状況を考えると、短期的な競争の面ではドコモがiPhoneを導入するタイミングは今しかないと言える。

 ドコモはこの夏モデルから、「Xperia A」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)と「GALAXY S4」(韓国サムスン電子製)の2機種をドコモのお奨め機種としてプッシュし、他の機種よりも奨励金を厚く積み増し実質価格を下げる販売施策「ツートップ戦略」を進めている。しかしツートップ戦略は従来型携帯電話機(フィーチャーフォン)ユーザーのスマホへの移行を促す上では効果が出たものの、「MNPにおける他社からドコモへのポートイン数は想定よりも少なかった」(NTTドコモの加藤薫社長)と、ドコモ自身も誤算を認めている(関連記事:NTTドコモの1Q決算は増収減益、「ツートップ戦略は一定の成果」と加藤社長)。

 7月の携帯電話の純増数では、ドコモはMNPでポートインするユーザーに対して2万円の販売奨励金を復活させたことから、前月の純減から持ち直している(関連記事:携帯純増数は7月もソフトバンクが首位、ドコモは回復の兆し)。ただしこれまでのドコモの経緯を見ると、他社からiPhoneの新機種が登場するタイミングで純増数が悪化し、純減に陥るパターンを繰り返している(図1)。つまり、iPhone新機種の発売のタイミングである今、何か手を打たなければ、ドコモがこの秋の顧客獲得競争を乗り切れないことが目に見えている。決断するタイミングとしてはiPhone新機種が登場する今しかなかったのだろう。

図1●携帯電話大手3社の純増数推移(2013年7月まで)
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