「ITはもはや単なる効率化の道具ではない。ビジネスそのものにITを組み込むことでビジネスを変えていく必要がある。その意味で、これからのCIOはチーフ・インフォメーション・オフィサーというよりも、チーフ・イノベーション・オフィサーの役割が求められる」。帝人のCIOである山本員裕 帝人グループ執行役員 経営企画本部長はそう話す。

「技術によるビジネスのイノベーションの方策を提示するのが自らの役割」
フィデアホールディングス
代表執行役副社長 CTO
吉本 和彦 取締役(写真:陶山 勉)

 実際、多くのCIOがIT活用によるビジネスのイノベーションを自らの主な役割とする。例えばLIXIL グループの丹澤信一 執行役専務 経営戦略本部本部長 IT戦略担当は「私自身はチーフ・ビジネス・イノベーション・オフィサー(CBIO)だと認識している」という。

 北都銀行と庄内銀行の持ち株会社フィディアホールディングスの吉本和彦 取締役 代表執行役副社長は、CIOではなくCTO(最高技術責任者)を名乗る。「技術によるビジネスイノベーションの方策を提示するのが役割だからだ」と吉本副社長は説明する。


ITによるイノベーションを提示

 CIOがIT部門のボスとして受け身の対応に終始していたのでは、イノベーターたりえない。「経営が目指す方向を理解し、実現に向けたIT戦略や具体的方策を自ら打ち出さなくてはならない」とヤマトホールディングスの小佐野豪績 執行役員 経営戦略・IT戦略担当は主張する。ローソンの佐藤達 執行役員 CIO IT ステーション ディレクターも「経営の目的を達成するための方策について、常に複数の選択肢を提示できることが必要だ」と話す。

「CIOは先を見て自ら仕掛けないと、これからのビジネスのスピードに対応できない」
日産自動車
執行役員 CIO グローバル情報システム本部本部長
行徳セルソ(写真:陶山 勉)

 日産自動車のリーフの開発では、そうした新たなCIOの役割が大いに発揮された。リーフには各種センサーや無線ユニットが組み込まれ、常時インターネットを介して日産のサーバーと常時接続されている。当初は、電気自動車の走行情報をできるだけ集める目的でIT化を進めた。しかしそれだけでなく、この仕組みが顧客との関係の革新にも活用できることから、故障診断などの各種サービスの開発へとつなげた。

 また、電気自動車の心臓部であるリチウムイオン電池の生産では、製造部門に要件を聞くのではなく、逆に他社のノウハウの詰まったERP(統合基幹業務システム)のテンプレートをそのまま使うことを提案、工場のスムーズな立ち上げに貢献した。「新しい製品を造る際だからこそ提案が生きた。CIOが少し先を見て自ら仕掛けていくようでないと、これからのビジネスのスピードに対応できない」と行徳執行役員は語る。

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