ネオマルスコーポレーションの甲斐武彦社長は、1991年に大分市中央町で同社を設立し、料飲店および衣料品店からスタート。その後、ケーブルテレビの営業設置、電気通信工事業へと発展し、現在は電気・通信・放送関連の設備設置施工およびその付帯事業を中心に、大分本社、東京支店を拠点として全国に業務を展開している(写真1、2)。業務エリアは広く、全国600の協力会社と契約し、人口6万人以上のすべての都市に工事技術者を派遣できる体制を整えている(「uRAT」と呼ぶ)。

写真1●ネオマルスコーポレーションの本社
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 しかし電気通信工事業では、電話とファックスで工事の依頼/発注/契約などの情報をやり取りするアナログ環境が主流である。同社もその例に漏れず、ITシステムを導入する前は、クライアント(顧客)が工事を依頼する電話をしても電話待ちの状態が続きキャンセルされる、工事技術者との仕様書のやりとりにミスがあって工事が予定通りに進まない──といったトラブルが相次ぎ、同社の電話は鳴りっぱなしだった。トラブルに対応しようと工事技術者に電話をかけても電話がつながらず、報告が遅れてクレームは増すばかり。業務効率も悪く、赤字になる案件もあったという。

 同社は、こうした課題をどのようにIT化で解決したのであろうか?そこには、「三つの見える化」と「現場が使う工夫」があった。

ITシステムで三つの見える化を推進

写真2●甲斐武彦社長
写真2●甲斐武彦社長

 甲斐社長は2007年から、同社の岡田百代取締役をITシステムの構築・導入の責任者に任命し、「業務」「利益」「評価」という三つの見える化による業務改革を推進した。構築したシステムは、自社開発の「工事進捗管理システム:STELLA(ステラ)」と「全社収益管理システム:Ceres(ケレス)」の二つである。経営企画室をとりまとめる岡田取締役が社内SEとともに構築/検証/改善を繰り返し、自社にフィットしたシステムを創り上げた。具体的な内容は以下のようになる。

(1)「業務の見える化」
 「工事進捗管理システム:STELLA(ステラ)」により、工事手配から、仕様書の提供、工事開始・終了、報告提出まで、案件ごとの進捗が「大型テレビモニター」に表示され、一目で分かるようになった(写真3、4)。このシステムでは、クライアントや工事会社も一部の情報を共有している。例えば、クライアントの知りたい情報「今、工事はどうなっている?」が見える化されており、問い合わせが激減するとともに、受注から報告までのリードタイムが3分の1に短縮された。この改善が評判を呼び、下請け体質から脱却し、キャリアからの直請けが増加するとともに、受注案件数が2007年に比べて2.3倍増となっている。

写真3●テレビモニターによる進捗管理。1日にこなす業務がモニターに映し出され進捗が一目で分かる
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写真4●工事進捗管理システム「STELLA(ステラ)」。現場とのコミュニケーションには電話を使い、工事の進捗を確認する
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