24時間365日、安定稼働が常に求められる情報システムの運用現場。どんな課題を抱え、それらにどう取り組んでいるのか―。

 日経BPシステム運用ナレッジと日経BPコンサルティングは2013年1月~2月、国内企業の情報システム部門/情報システム子会社を対象に、「企業情報システムの運用管理に関する実態調査」を実施した。運用管理に関する体制/コスト/マネジメント/環境の4テーマを中心に、広範囲な内容を調べた。約3900社へ調査票を送付し、627社から有効回答を得た(回答企業のプロフィールは別掲の「調査概要」を参照)。

 調査結果の詳細は、今夏に調査レポートとしてお届けする予定だ。本特集では、調査結果のエッセンスをまとめて紹介する。結果を基に運用現場の課題を分析。「コストのスリム化」「仮想化/クラウド」「自動化/運用プロセス」という三つのポイントに焦点を当て、現場での課題への取り組み実態を明らかにする。

運用・保守コストは76%

 最初に、企業におけるIT関連コストの動向を見てみよう。

 2012年度のIT関連コストの総額は、回答企業の金額平均で6億5520万円(IT関連コスト/売上高比率は0.77%)。2011年度は6億2550万円(同0.76%)で、対前年比で4.7%増加した。この増加の傾向を、東日本大震災後の反動とする見方は少なくない。「震災の影響などでIT関連投資は一時落ち込んだが、徐々に回復基調へ向かっている。特に製造業では顕著な傾向だ」と、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の薩摩貴人氏(マネージャー)は説明する。

 では、その内訳はどうか。2012年度のIT関連コストの内訳平均は、運用管理コストが44.9%、保守開発コストが30.8%、新規開発コストが24.3%だった(図1左)。システム稼働後のコストである運用管理コストと保守開発コストの比率を合わせると、実に全体の75.7%を占める。売上高規模別に見ると、売上高が高いほど保守開発コストは小さくなる傾向が見られるが、運用管理コスト/保守開発コストの合計はいずれも70%を大きく超えている(図1右下)。

図1●IT関連コストの内訳と今後の見通し
IT 関連コストに占める運用管理/保守開発の割合は75%を超える。今後の見通しでは、約8 割の企業が現状維持または減ると回答している
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 運用管理コスト/保守開発コスト/新規開発コストのそれぞれについて、今後の増減の見通しも聞いた。その結果、新規開発コストは40.7%が「増やす」と答えている。PwCの薩摩氏は「震災で凍結していたプロジェクトの再開に加え、WindowsXPからWindows 7へのリプレースのように、老朽化したシステムを更新するための投資も少なくない」と見る。調査結果からも、積極投資の傾向がうかがえる。

 増加傾向の顕著な新規開発に対して、運用管理コストと保守開発コストは抑制される傾向にある。「増やす」という回答はそれぞれ22.2%、21.1%にとどまった(図1右上)。「現状維持」「減らす」の回答を合わせると、いずれも8割近い数字になる。

 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)のIT サービスマネジメント研究会長を務めるJX日鉱日石インフォテクノの上野耕司氏(システム統轄部副部長 兼 システム統轄グループマネージャー)は、「運用にかかるコストは直接リターンを生まない、いわゆる“守りのコスト”とみなされ、厳しいコスト削減が求められるケースが多い」と語る。

 運用現場では、コストスリム化の傾向が依然として強い現状が浮き彫りとなったといえる。

調査概要
全国の上場/未上場企業3900社にアンケート用紙を送付し、企業情報システムの運用管理に関する実態を質問した。調査期間は2013年1月~2月。集計対象数627件(回答率16.1%)。