ヒューマンエラーをゼロにするには、日頃からHEZ(ヘズ、ヒューマン・エラー・ゼロの略)活動を実践・継続していくことが必要である。特に日常の業務では何に留意し、何を実施していけば良いのか、具体的な手法とポイントを解説していく。


 前回は、HEZ活動の具体的な例としてCTCテクノロジー(CTCT)の取り組みを紹介した。第3回では、その一つである「全従業員対象の危険予知(KY)研修」の中で教えている手法のうち、日頃から行うことが基本となる「指差し呼称」「健康KY」「朝礼・終礼」について紹介する。

指差し呼称でミスが6分の1以下に

 ヒューマンエラー事故防止の具体的な手法の一つとして、「指差し呼称」がある。作業を安全に誤りなく進めていくために、作業行動の要所要所(危険ポイント)で自分の確認すべきことをしっかりと指差し、はっきりとした声で読み上げて確認することである。

 作業の中の危険なポイントにもかかわらず、定常作業のような「くつろいだ状態」で作業を行うと、思わぬエラーを発生させてしまうことがある。このようなときでも、確認すべき対象をしっかりと見て、腕を伸ばして指を差し、大きな声を出して確認することで、「正常で明快な状態」に切り替わり、正確度が高まる。

 指差し呼称は、人なら誰でも起こす可能性のある「錯覚」「不注意」による誤判断や誤操作、事故を未然に防ぐのに大きく役立つ。中央労働災害防止協会の資料(鉄道総合技術研究所の実験結果)によると「何もしない場合」に比べて「指差し呼称した場合」には誤りの発生率が6分の1以下になるという。

 指差し呼称を実施する際は、キビキビとした動作で行うことが大事だ。足は肩幅程度に開き、背筋を伸ばして左手を腰にあて、図1のように行う。

図1●指差し呼称の進め方
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 前回紹介したように、CTCTでは作業基本動作六箇条の四箇条で、要所要所での指差し呼称による確認行動を実施するとしている。

 ここで言う要所要所とは、IT業界で言えばケーブルの抜き差し、機器の電源OFF/ON、重要なコマンドの入力、データの入力・変更・追加・削除などを実行しようとするときである。その要所要所における確認行動とは、自分が行おうとしていることが「正しいか」「間違っていないか」を判断し、「正しい」と思ったことが「本当に正しいか」を確かめることである。

 しかし、作業のときだけ指差し呼称をしようとしても、なかなかできるものではない。そこでCTCTでは全社員が「日頃から、その行動や判断で、間違えたらマズい、忘れたらマズいと思うときに、指差し呼称を実践する」ようにしている。メール送信前のアドレス確認や離席時のカギかけといったことは誰にでも共通することだ。繰り返し行うことが習慣化につながる。

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