写真●チェンジビジョン社長の平鍋健児氏
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 「仕様書通りに作って、上司に怒られながら徹夜して、結局、お客さんは幸せにならない。これが日本のエンジニアの平均像だろう。でも、エンジニアは皆、いいもの作ろうと思っているし、世界を変えたいと思ってるし、お客さんをハッピーにしたいと思っている。これがそのまま形にできる『開発の現場』を作りたい。それが僕がずっと考えてきた課題です」

 2006年にソフトウエア会社のチェンジビジョンを設立した平鍋氏は、エンジニアも顧客もハッピーになる開発現場がどうすれば実現するかをずっと考えてきた。実現のために、平鍋氏が取り組んでいることは二つある。

 一つは、日本製のソフトウエアを世界に発信することだ。

 「日本製のソフトが世界に出ていない。それを変えたい。“日本品質”を持った、使いやすい、お客さんを感動させるようなソフトやサービスを日本で作る。それらを世界に売れたら、そのソフトやサービスを使うエンジニアもハッピーになる」

 具体的には、UMLモデリングツール「astah*(アスター)」の世界市場開拓に力を入れており、「ようやく形になりつつある」。現在、astah*のユーザー数はフリー版を含めて約50万。このうち日本のユーザー数は約20万というが、なるべく早く日本対海外の比率を1対2くらいに持っていきたいと語る。

 もう一つは、エンジニアと顧客が対話しながらイノベーションを起こせるようにすること。これを実現するために、アジャイル開発を普及させようと、イベント「アジャイルジャパン」や書籍の執筆といった活動を手がけている。

 「アジャイルの方法で、使う人と作る人の対話のやり方を変えられたら、エンジニアが誇りを持って仕事ができる環境を作れる」

 この2つに共通するのは、エンジニアの仕事のやり方を変えて、同時に世界を変えたいということだ。

 「やはり『世界を変えたい』とずっと思ってるんですね。エンジニアの働き方にこだわるのは、僕がエンジニア出身だからですね。たぶん」

福井を日本のシリコンバレーにしたい

 平鍋氏は1995年に日本鋼管から、本社が福井にある永和システムマネジメントに転職して以来、活動拠点を福井に置いている。チェンジビジョンも本社は東京だが、開発部は福井にある。平鍋氏は福井に住み、福井で働く。

 「これは僕のサブテーマになりますが、ITの市場も、働く場所も、東京に一極集中している。これを変えたい。福井を日本のシリコンバレーにしたいと思っている。現在、福井で一緒に開発してくれるエンジニアを募集中です」

 平鍋氏の夢は、福井にソフトウエア研究所を作ること。ただし、作る側だけの研究所にはしたくないという。

 「作る人と使う人が対話できるような研究所にしたい。使う側と使う側のナレッジが出会う場所。そんな研究所ができればいい」


平田昌信
ITpro
 日経コンピュータ、日経CG、日経ソリューションビジネス、日経ITプロフェッショナルの記者、副編集長を務めた。現在は、システム導入のための意思決定支援サイト、ITpro Activeを担当。