「アフリカのどこかの国の街中でパソコンをのぞいたら、ウチの会社のソフトが動いている」。

 会社を創ったとき、ソフト会社インフォテリアの創業社長である平野洋一郎氏の頭には、こんなシーンが浮かんだという。

 彼のモットーは「世界で通用するソフト作り」。言葉の通り、創業から15年、インフォテリアはひたすら「海外でも売れるソフト」にこだわり続けてきた。

 日本のソフト会社には珍しく、インフォテリアの売上のほぼ100%は、パッケージやクラウドといった汎用ソフトの開発・販売と関連サポート・サービスによる。顧客に言われたシステムを作る受託開発は「最初の製品の事例を作るための数件」以外は手がけたことがない。

 成長著しいゲームやソーシャルサービスにわき目をふることもない。「投資家からは『儲かるよ、やったら』と何度も言われたが、どうしてもその気にならない」。

 そこまで汎用ソフトにこだわるのなぜか。平野氏に尋ねると、少し考えた後、冒頭のコメントが返ってきた。

 「ゲームやソーシャルをやれば儲かるかもしれない。でもゲームやソーシャルは地域によって嗜好が違うから、作ったものを地球の裏側でも使ってもらえる気がしない」。

 そして続ける。「ソフト技術者として自分のソフトが世界中で使われているシーンをいつかは見てみたい」。

成功するまで何度でも

写真●インフォテリア社長 平野洋一郎氏
(撮影:小久保 松直)
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 夢を叶えるため、インフォテリアは世界に挑戦し続ける。このところは各種スマートデバイスやパソコンから使えるクラウド文書管理ソフト「Handbook」で中国市場の開拓に注力する。

 2011年7月以降、インフォテリアは中国の大手ITベンダーや通信事業者とHandbookの販売パートナー/OEM供給契約を相次ぎ締結、一気に販売網を整備した(関連記事1)。

 実はインフォテリアが海外を目指すのは、今回が3回目。米国市場を狙った過去2回はあっさりと跳ね返された。

 創業間もない2000年1月には米国に販売子会社を設立。一時は日本とほぼ同じ20人超の人員を抱えるほどに成長した。ところが2001年9月11日の米国同時多発テロによる景気後退で状況が一変。「売り上げがゼロなのに固定費は毎月出ていく」状況が6カ月以上にわたり、撤退を余儀なくされた。「一気に陣容を拡大しすぎた」と平野氏は悔やむ。

 このときの反省もあり2005年から本格化させた2回目の米国挑戦は、スモールスタートとなった。半年にわたる事前調査の結果が芳しくなかったため、既存製品の英語版を販売するプランは見送った。代わりに少人数のスタッフが、当時勃興しつつあったWeb2.0関連サービスを調査・開発することとした。

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