前回まで3回にわたって、アメリカン・エキスプレス・インターナショナルのNPS、デュポン日本法人の相互イノベーション、住友スリーエムの15%カルチャーについて解説してきた。

 3社は「称賛される会社」だけでなく、日本企業に極めて社風が似ている点でも共通する(表)。

表●称賛される会社の特徴
社名経営手法日本企業との類似点
アメリカン・エキスプレスNPS指標を定めて、全員で達成に向けて努力する
デュポンインクルーシィブ・イノベーション顧客の声を熱心に聞いて、製品やサービスを改良する
3M15%カルチャー自主活動を重んじて、団結して成果を出す

 デュポンと3Mは「もの作り」の会社として実直さを持ち、さらに本社を地方都市に置き、長期雇用を取っている。デュポンは200年、3Mは100年の歴史を持ち、伝統を重視しながら、経営改革を続けている。あえて日本で言えば、三井や三菱グループのように伝統を抱え、かつ人々に社名や製品・サービスが広く親しまれているような感じだろう。

 一方、アメックスも「顧客満足」を特に重視しており、接客に気配りやおもてなしの考えを取り入れている日本企業と重なる部分が大きい。

 3社の経営手法はどれも先端的だが、これも日本企業の活動に近い面がある。

日本企業と共通点が多い

 日本企業の特徴といえば、従業員が自主的に改善活動に取り組むこと。目標値と達成期間を定めて協力して努力すること。顧客の声をきちんと取り入れて、製品やサービスに生かすこと。こうしたことが思い浮かぶだろう。

 それに沿って考えると、アメックスのNPSは先端の目標指標といえる。顧客の満足度から進化させて次の顧客の獲得見込みやライバルとの指標、自社ブランドの認知度など、NPSは幅広い範囲でのベンチマークとなるものだ。指標重視は日本企業になじみやすい概念といえる。

 デュポンによる顧客とのイノベーションは、外部の声を聞くことを出発点にする。これも極めて日本的な動きといえるだろう。

 顧客の望むものを熱心に聞き、自社の技術でそれを解決する。顧客の技術改革と組み合わせることで、成果を倍にする発想は「もの作り」の結晶とも呼べる。

 ショールームを構えて、そこに顧客を迎えるホスピタリティーを持つ日本企業は多い。デュポンのイノベーションも決して遠いものではない。

 3Mの15%カルチャーやテクフォーラムのような自主活動は、そもそも日本企業が得意とするものだ。自主的にアイデアを出し、活動を全社で広げて団結する。工場や職場で改善活動や勉強会を手掛ける習慣は、日本企業の規模を問わず定着している。

 3Mの技術者がテクフォーラムで技術の潮流や製品の動向を自ら切り開いていくことは、日本企業にとっても理想の姿といえるのではないだろうか。何より、どの手法も、現場の社員から経営陣まで全員が取り組める要素を持つことから、親しみやすい。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら