韓国のITを語る上で欠かせないのが、前回でも紹介した電子政府サービスである。韓国で電子政府サービスが普及した大きな理由の一つが、利便性とセキュリティのバランスを考えた、多様な本人認証の手段を用意している点だ。

写真1●公共施設に設置された証明書発行機
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 地下鉄、空港、病院……。韓国の公共施設に必ずといっていいほど置かれているのが、住民票などの公的証明書を発行する証明書発行機である(写真1)。市区町村の役所に出向かなくても、気軽に証明書を発行できる。

 この発行機で使う認証手段は、韓国の国民全員に割り当てられた13ケタの住民登録番号と、指紋である。番号を入力した上で、読み取り機に指をかざすことで、本人を認証する。

 こうした証明書を家庭用プリンターでも印刷できるサービスを提供するのが、パソコンのブラウザーからアクセスできる電子政府サービス「民願24」だ。出力される証明書は、不正コピーを防ぐため電子透かし(digital watermark)が印字される。さらに証明書一つひとつに発行番号を割り振ることで、証明書を受け取った機関が政府システムに照会して真正性を確認できるようにしている。

写真2●「民願24」による住所移転の一括手続き
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 民願24は、証明書の印刷のみならず、政府・自治体の行政手続きをほとんどオンラインで済ませることができるポータルサイトである。例えば住所移転の手続きであれば、同時に郵便局、銀行、税務、学校の編入まで一括して手続きを済ませることができる(写真2)。

 この民願24を利用する場合の認証手段は、証明書発行機と同じく13ケタの住民登録番号と、政府公共機関や金融機関が発行するPKI方式の電子証明書である。

 電子証明書ファイルはUSBキーなど様々なメディアに格納でき、パソコンに指すだけで使える。日本の住民基本台帳カードのようなICカード方式と異なり、わざわざカードリーダーを購入する必要はない。印鑑の代替として、電子証明書による個人認証が普及している韓国ならではの認証方式といえる。

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