システム開発をめぐる当事者間のトラブルは、たとえ裁判には至らずとも、解決への糸口が見えずに長期化しがちだ。特許庁のシステム開発失敗はその一例だろう。

 政府が特許庁の新システム開発の中断を発表してから1年あまり。特許庁は2013年3月の段階で、開発ベンダーだった東芝ソリューションとの契約を解除できていない。「契約をどのような形で終わらせるか、現在も協議中」(特許庁)。

 政府が契約を解除するには、成果物の対価から違約金まで、金銭の支払いで合意する必要がある。関係者によれば、特許庁を所管する経済産業省と開発ベンダーの間で、2012年前半の段階でこの合意がほぼできていた。だが2012年12月の政権交代後、政府の閣僚から「開発ベンダーに適正な違約金を求めるべきでは」と注文がつき、交渉の行方が見えなくなった。ベンダーとの契約を解除するプロセスや「Exitルール」が明確でなく、プロジェクトを円滑に中止できない政府システム調達の問題が表れている。

 一方、新たな刷新プロジェクトがようやく動き始めた。特許庁は2013年3月15日、業務・システム最適化計画の改訂版を公表した。2022年度の完成を目指し、段階的に刷新する考えだ(図4)。

図4●特許庁システムの第1期刷新計画の概要
個別システムの刷新は、第2期(2018~2022年度)に完了する予定だ。
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 現行システムの更新では、動作インプラをメインフレームからオープンシステムに切り替える。システムの新規開発では、産業界の要望が強い多言語検索システムの開発を優先させる。

 これと並行して、複数のシステムに分散した特許情報を統合する準備作業も進めている。この作業は旧プロジェクトの難所の一つで、データ分析に関わった技術者は「同一のデータが複数のシステムに散在していたほか、所在不明のデータもあった」と明かす。新プロジェクトでは「旧プロジェクトの成果物は使わない」(特許庁)方針で、この作業をもう一度繰り返すことになる。