最近、インターネットを介したITシステムへの攻撃が報道されることが増えてきた。例えば、「遠隔操作ウイルス」のようにウイルスに感染させたパソコンを踏み台にする攻撃が行われた事例や、Webサイトの記載内容を改ざんするような攻撃である。

 これらのようなインターネットを介したITシステムへの攻撃はもちろん最近に始まったことではない。1990年代にインターネットが商用化されて以来、行われてきた。しかし、これらを攻撃者の目的という観点で捉えると、過去から現在までの間に大きく変遷してきている。まず、インターネットを介した攻撃をその目的ごとに分類してみる(図1)。

1.主義主張のための攻撃

図1●攻撃の変遷
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主義主張を通すために、Webサイトを改ざんしてメッセージを埋め込んだり、Webサイトを閲覧不能な状態にして犯行声明を出したりして、自分の主義主張をアピールすることを目的とする攻撃。

2.金銭目的の攻撃
主に一般のユーザーのパソコンをウイルスに感染させたり、偽の銀行サイトを作ってアカウント情報をだまし取ったり、Webサイトを攻撃してデータベースに格納された個人情報を盗んだりして、金銭に繋がるような情報を得ることを目的とする攻撃。

3.諜報活動目的の攻撃
主に企業などの組織内のユーザーのパソコンをウイルスに感染させて、その組織内のシステムに侵入し、組織における知財等の機密情報を窃取することを目的とする攻撃。

表1●2011年~2012年に報道された標的型と思われる攻撃の一例
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 このうち、1と2の攻撃については、10年以上前から発生しているが、3のような諜報活動を行う攻撃は、最近にになって顕在化してききたものだ。コンピュータ・セキュリティー関連の企業や報道などでは「標的型攻撃」と呼ばれることも多い。海外では2005年ごろより話題となっていたが、日本では2011年の秋ごろから頻繁に報道されるようになってきた(表1)。

 攻撃の手口も年を追うごとに巧妙になってきている。2000年代初頭は、攻撃者は、1人程度で実施しているような突発的な攻撃が多かった。しかし、2005年ごろから徐々にグループ化し、今ではサイバー攻撃がプロ集団によって行われるようになっている。攻撃も一つのウイルスで完結するのではなく、複数のウイルスを駆使したり、あるいはサーバーとウイルスが連携するような仕組みを用意したりして攻撃を行うソーシャル・エンジニアリング(詳細は後述)やソフトウエアの脆弱性(詳細は後述)を狙うなど、従来以上にウイルスに感染される確率を上げる手口を使うようになってきている。

 特に諜報活動を狙った攻撃については、攻撃が組織内部を相当研究したうえでソーシャル・エンジニアリング手法が使われる。さらに、感染が成功するまで執拗に攻撃が続けるなど、かなりの資金が必要であると思われるだめ、直接、営利を目的としない国家の関わりもあるのではないか、という考察もある。

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