「ドコモ、純減」――。この響きは、業界関係者にとって大きな衝撃だったはずだ。2012年11月の国内携帯電話契約数の増減は、一般向けの報道でも大きく取り上げられた。ドコモの契約数が5年ぶりに純減となった説明として、ほとんどの報道は「iPhoneを持つものと持たざるもの」という切り口になっている。このニュースは海外でも報じられている。

 筆者はこの主因は「市場環境の変化」にあると考え、以下の観点から考察を加えたい。

  1. 海外ではAndroidの方が売れている
  2. KDDI(au)の好調の理由はスマートバリューだけではない
  3. NTTドコモのブランドイメージは、料金競争では不利
  4. 「ドコモのiPhone」で、各社の端末ラインアップの差は僅かに
  5. 通信事業者のプラットフォーム競争は、通信事業者の枠を超える
  6. 通信事業者の土管競争の前提が変わった2012年

海外ではAndroidの方が売れている

 国内市場におけるiPhone 5の売れ行きは好調だ。市場調査会社が公開している売れ筋機種のランキングを見ても、上位には常にiPhoneの各モデルが並んでいる。Androidの各機種はiPhoneほどは売れていない。大手3社のマーケティングを見る限り、au、ソフトバンクモバイルはiPhoneを前面に出してマーケティングしており、Android端末に対する宣伝のプライオリティは低く見える。

 対するNTTドコモはAndroid一本で勝負している。iPhoneという売れ筋端末の1機種をラインアップに持たないことは、持つものと競争する上で不利には違いない。

 日本での報道を見ると、iPhoneばかりが売れていてAndroidが売れていないような印象すら読む側は受けるのではないか。では、本当にAndroidではiPhoneに勝てないのだろうか。iPhoneがベストセラーであることに疑いの余地はないが、NTTドコモからすればAndroid数機種の合計でiPhoneに対抗できればいいはずだ。世界的なベストセラーである韓国サムスン電子の「Galaxy Sシリーズ」は、ドコモの商品ラインアップにおいても売れ筋の代表だ。世界に少し目を転じてみると、見え方が変わってくる。

 世界の先進市場におけるスマートフォン販売シェアを見ると、iPhoneよりもAndroidの方が高い(参考資料参考記事)。Androidの方が売れているのは、iPhoneより大幅に安く売っているからというわけでもない。例えば英VodafoneのWebサイトを見ると、iPhoneを含め表示されているスマホ40数機種のほとんどが「Free(無償)」で入手できる(2012年12月10日時点。機種と月額料金プランの水準により、端末販売価格が異なる)。

 こうした状況を見ると、「AndroidしかないからNTTドコモが負けている」という理由は本当だろうか。NTTドコモ不振の理由は「iPhoneがないから」という理由だけでは片づけられないのではないだろうか。

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