前回、経営貢献できるIT組織になるには、IT戦略およびITマネジメント機能の人材スキルを充足させること、そしてIT戦略機能の人材数を充足させることが有効であると説明した。今回は、実際に経営貢献が実現できるIT組織へと変革していくために、どのようにIT人材を配置し、どのようなIT組織強化施策を講じるべきかについて調査結果を基に解説する。

 IT組織が置かれている状況は様々であり、IT人材数の充足を図る上では、個々の事情を踏まえて自社に最適なIT人材配置を見極める必要がある。見極めにあたっては、他社のIT人材配置に関する情報が非常に有益となる。

 これまで各種調査レポートにて、業種別、企業規模別などの様々な切り口から、機能別のIT人材数の構成比等に関する分析は行われてきた。しかしながら、実際に経営貢献を実現しているIT組織でのIT人材配置やその傾向については分析されてこなかった。そこで本稿では、実際の機能別IT人材数を基に、先進グループのIT組織における「人材配置モデル」を構築し、そのポイントについて考察した。

 IT人材配置モデルの構築にあたっては、IT投資額1億円当たりのIT人材配置を分析することにより、システム規模が異なる企業でも比較検討できるようにした。また、前回同様、IT組織を「先進グループ」と「途上グループ」に分類し、両グループの調査結果を比較しながら分析を進めていく。ここでは、前者は経営に十分貢献しているIT組織、後者はそれ以外のIT組織と定義した。

 なお、回答企業のIT人材数とIT投資額の相関係数は0.76(強い正の相関)であることから、単位IT投資額あたりの自社IT人材数をモデル化することは統計学的に有効だと考えられる。ただし、IT人材数は企業規模などにも影響を受けるため、IT人材配置モデルはあくまで機能別構成比の目安や先進グループの特徴を判断するために活用されたい。

経営貢献しているIT組織の人材配置の特徴とは?

 まずは、先進グループと途上グループにおけるIT人材数について分析した。日本において、1990年代にユーザー企業によるアウトソーシングが一般的になって以降、先進的な企業ほど上手にアウトソーシングを活用し、自社のIT人材数を抑制してきたように思われる。しかし、分析の結果、実際には途上グループより先進グループの方がより多くのIT人材を配置していた(図1)。

図1●先進グループと途上グループのIT人材配置モデルの違い
先進グループは途上グループと比較して自社にIT人材を多く配置しており、システム開発機能のIT人材数の差が顕著である
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 では先進グループでは、具体的にどの機能に人材を多く配置しているのか。途上グループと比較したところ、先進グループでは特にシステム開発機能に人材を多く配置していた。これは、自社のIT人材がシステム開発に主体的に関与することにより、自社の業務やシステムに関するノウハウを蓄積できることに起因すると推測される。自社のIT人材にノウハウを蓄積できれば、適確なIT投資判断やシステム企画の実践が可能となり、事業ニーズへの迅速かつ適確な対応につながるのではないかと考えられる。

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