今回から、ブランク氏が著した「シリコンバレーの秘密の歴史」シリーズを隔週の予定で掲載します。第1回は、ブランク氏がひも解くシリコンバレーの原点です。シリコンバレーの起源は、一般に言われる半導体やパソコン関連の企業ではありませんでした。(ITpro)

 私は、自分が実際に住み、働く場所となったシリコンバレーのことを、常々知りたいと思っていました。アントレプレナーとして自分のキャリアを積む過程で、投資家のベンチャー・キャピタリスト(VC)や友人に 、「アントレプレナーシップはどこから出現したのか」「シリコンバレーはどのように始まったのか」「なぜこの場所だったのか」「なぜこの時期なのか」「“これを実現してやろう”という文化はどのようにして出現したのか」などを尋ねました。答えとして返ってきたリアクションは、私の過去の職務の中で返ってきたものと同様で「そんなことは誰も気にしていない、自分の仕事に戻りなさい」というものでした。

 私が引退した後、カルフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネス・スクールのレスターセンター・アントレプレナーシップ課程でディレクターを務めるジェリー・エングル氏が、勇敢にも「顧客開発」手法を私が教える機会を提供してくれました。クラス用の教材を考案しているとき、シリコンバレーの歴史の一端を予習するのは難しくないと思い、私の長年の疑問だったアントレプレナーシップの起源の答えを得ることになりました。

伝説:ヒューレット・パッカード、アップル、インテル

 私は、シリコンバレー関連書籍で人気があるものをすべて読みました。それらの本は、物語としては同じであり複数のバリエーションと言えました。すなわち、半導体企業やパソコン関連企業を創業したアントレプレナーを英雄と見なしているもので、ビル・ヒューレット氏とデイビット・パッカード氏が創業したヒューレット・パッカード(HP)、ボブ・テイラー氏と彼のチームが始めたゼロックスPARC、スティーブ・ジョブズ氏とスティーブ・ウォズニアック氏が創業した米アップル、ゴードン・ムーア氏とボブ・ノイス氏が創業したインテルなどについて書かれていました。

 それらの本は、読者を奮い立たせるものの驚くような内容はなく、人気のある出版社が出した、一般大衆にアピールするためのものだと思いました。それらはすべて、無一文で大胆なアントレプレナーが、万難を乗り越えて創業し、会社を成功させた、面白い読み物です。

 しかし、アントレプレナー文化がどこからやってきたのかについては、誰も書いていませんでした。「半導体やパソコン企業がなぜここで始まったのか」「米国の他の地域や他の国で、“シリコンバレー”がどうして興らなかったのか」について書いた本は、どこにあるのでしょうか。「Regional Advantage: Culture and Competition in Silicon Valley and Route 128」(邦題、現代の二都物語―なぜシリコンバレーは復活し、ボストン・ルート128は沈んだか)以外は、シリコンバレーの地域的利点を説明していません。その理由は、アントレプレナーは常に前進していて、過去をほとんど振り返らなかったからでしょうか。私は、さらに深く知る必要がありました。

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