化粧品などを販売する店舗にあるIT機器のヘルプデスク業務を中国・大連にBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)した資生堂。大連の担当者は日本語レベルが高く、業務に対して前向きな意識を強く持っているが、それでも対応品質を担保する仕組みは必要だった。そこで資生堂はいくつかの評価軸をあらかじめ設けて、この課題を解決している。

 具体的には(1)通話内容、(2)大連の担当者が書いた受付履歴、(3)大連から日本への発信件数、(4)日本から大連への着信率--などを評価するようにした。(1)については、通話内容をサンプリングして日本側で評価したり、大連に問い合わせた「ビューティーコンサルタント(BC)」をピックアップして対応状況を聞き出したりしている。

写真1●資生堂の岡部正則情報企画部次長
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 (2)は大連の担当者が日本語で書いた受付履歴を保管しておき、内容をチェックする。(3)については、大連から日本への発信件数が多ければ、1回のやり取りで対応を終えられていないとみられることから、サービスレベルの低下につながっていると評価する。最後の(4)は大連の勤務体制の適切さや、ネットワークを含めたシステムの保全性を測る指標にしている。

 「中国は担当者の離職率が高いこともあり、対応品質を担保するためのSLA(サービス・レベル・アグリーメント)が重要になる」。今回のプロジェクトを主導した資生堂の岡部正則情報企画部次長(前・資生堂情報ネットワーク代表取締役社長、写真1)はこう強調する。

大連のチームリーダーを日本に2カ月以上派遣

 大連へ業務を移す前には、大連でチームリーダーを務める2人を日本に呼び寄せ、75日間にわたって研修を実施した。例えば、旗艦店である「SHISEIDO THE GINZA」(東京都中央区)など約10店を見学したり、東京都府中市の運用拠点で実務研修を受けたりした。店舗の視察などを通じて、まずは資生堂の成り立ちや企業文化などを理解してもらうようにした。

写真2●資生堂情報ネットワークの浜野彰英ネットワーク推進部ネットワーク推進グループリーダー参事
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 こうした取り組みは対応品質の向上にも寄与したが、それ以上に「大連の担当者が資生堂という会社に愛着を持つきっかけになった」と資生堂情報ネットワークの浜野彰英ネットワーク推進部ネットワーク推進グループリーダー参事は語る(写真2)。今では大連の担当者は運用ルームに資生堂の企業理念やポスターを自発的に張り出すなど、日本で研修を受けたチームリーダーを通じて、その思いは現場の担当者にまで浸透している。