資生堂は2012年4月から、化粧品などの販売店舗にあるIT機器のヘルプデスク業務を中国・大連に全面的にBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)している(関連記事)。国内で運用する場合と比べて、コストを4割減らせるとみる。

写真1●資生堂情報ネットワークの山口隆代表取締役社長
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 「店舗で使うIT機器の標準化を進めたうえで、将来は大連を東アジアの保守拠点にしたい」。店舗での接客や売上管理などを支援するシステムの企画開発や運用を手掛ける資生堂情報ネットワークの山口隆代表取締役社長(写真1)はこう話す。

 大連に任せるのは、店舗で接客を担う「ビューティーコンサルタント」が使うシステムのヘルプデスク業務。例えば、操作方法の問い合わせなどに対応する。これまでは東京都府中市にある東芝ソリューションの拠点で運用していたが、これを中国IT大手の東軟集団が大連に持つBPOセンターに移す。

 当初は国内へのBPOも検討したが、コスト削減効果が1割ほどと小さかったため、海外に切り替えた。さらに大連の担当者の対応レベルが高かったことも海外へのBPOを後押しした。資生堂の岡部正則情報企画部次長(前・資生堂情報ネットワーク代表取締役社長)らは2010年夏に大連を訪ね、ある通販会社のヘルプデスク担当者をヒアリングした。そこで担当者の日本語レベルの高さや前向きな考え方を評価していた。

国内と海外を併用

 まず国内のGMS(総合スーパー)内にある店舗のヘルプデスク業務を2011年9月から大連に順次移し、11月までに全店(1000店弱)の移管を終えた。デパート内にある店舗については、2012年3月から移管を進め、4月から全店(340店)のヘルプデスク業務を大連で手掛けている。

写真2●資生堂情報ネットワークの杉山浩ネットワーク推進部長
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 とはいえ、府中にある従来の拠点も規模は縮小したものの残している。店舗からの電話はすべて大連で受けるが、機器の故障などで人員の派遣が必要になった場合の作業員の割り振りなどは国内で手掛けるためだ。現状では「既知のトラブルは大連、未知のトラブルは国内が担当する」(資生堂情報ネットワークの杉山浩ネットワーク推進部長、写真2)という切り分けで運用している。将来的には府中の拠点をできるだけ小さくしていく方針だ。

 現状は1日に130件ほどの問い合わせが大連に舞い込む。これを十数人で対応している。「大連側でうまく対応できており、想定通りに進んでいる」と杉山部長は話す。