仮想デスクトップを導入すると、何が良くなるのか―─。実際に「VMware View」を使っていただいているユーザー企業に尋ねてみると、その答えはまちまちであるものの、大別するといずれも次に示す三つに分類することができる。

 一つ目は、ユーザーの利便性が向上したこと。二つ目は、運用コストが削減できたこと。そして三つ目は、セキュリティ確保が容易になったことである。いずれも、仮想デスクトップならではの特徴を生かし、ユーザーが導入前に目的としていた状況に到達した結果といえる。

 本稿では、こうしたユーザー企業の目的を達成するためにVMware Viewが提供する技術要素を、「仮想デスクトップならではの仕組み」「PCoIP(PC over IP)画面転送プロトコル」「アプリケーションの仮想化」の3本立てで紹介していく。

仮想デスクトップならではの仕組み
システム管理者の作業負荷を軽減

 まずは、仮想デスクトップならではの仕組みについて見ていこう。 端的に表現するならば、ユーザーにとっての仮想デスクトップの利便性は以下のようなものだ。

 ユーザーは、自分専用のデスクトップ環境に、どこからでもネットワークを経由してアクセスできる。出張先の端末が使えるので、わざわざパソコンを持ち歩く必要もない。端末は、Windows、Macをはじめ、iPad、Androidに至るまで、好きなものを選ぶことができる。好きなもの、その場にあるものを使えばよく、特定の仕様に縛られることはない。

 端末からはキーボード・マウスの操作信号が仮想デスクトップに送られ、仮想デスクトップからはそれらの操作を反映した画面情報が端末側に返される。この仕組みは同時に、端末側には顧客情報などの実データを残さないことも実現する。仮に端末を盗まれたとしても、その端末上には仮想デスクトップ上で使ったデータは保存できないように設定することができる。

2000台の更新作業を1回で済ませる

 さて、視点をシステム管理者に移し、2000台のデスクトップを管理する立場であることを想像してみよう。例えば、WindowsのService Packを1から2に上げる作業は、対象が物理パソコンならば、自動か手動かはさておき2000回発生する。これが、VMware Viewを使えば、1回で済ませることもできる。システム管理者は、たった1台の「親」仮想マシンをメンテナンスするだけでよいからだ(図1)。

図1●運用を楽にするView Composer
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 手順の概要を見ていこう。まず、「vSphere Client」を使って、親仮想マシン上のWindowsに、Service Pack2を適用する。適用後、親仮想マシンのスナップショットを作成する。次に、「View Administrator」と呼ばれるWebインタフェースの管理画面で、対象とする仮想デスクトップ群に対する「再構成」を実施する。再構成のタイミングは、即時、時刻指定など、システム管理者の都合に合わせることができる。

 再構成をすると、その仮想デスクトップ群のOS部分はService Pack2適用済みのものに入れ替わっていく。OS部分が入れ替わっても、ユーザーデータの保存領域は別領域として管理されるため、いわゆるユーザープロファイル部分は影響を受けない。また、それぞれの仮想デスクトップのコンピュータ名は、システム管理者が指定した採番方法に従って、ユニークに設定される。

 この仕組みは、「View Composer」という機能によって実現される。View Composerでは、レプリカと呼ばれる親仮想マシンの読み取り専用コピーを複数ユーザー用の仮想デスクトップで共有する(図2)。レプリカは、例えるならばOS、つまりCドライブのほとんどの部分、といえる。親仮想マシンを直接共有するのではなく、あえてレプリカを使うことで、いつでも親仮想マシンのメンテナンス、例えばService Packの適用など、を行うことができる。

図2●ストレージ容量を節約する仕組み
図2●ストレージ容量を節約する仕組み

 レプリカは読み取り専用なので、共有ストレージ上の読み取りI/Oが高速なLUN(Logical Unit Number)、例えばSSD(Solid State Drive)で構成されたLUNに配置することで、大規模環境における仮想デスクトップの体感性能を向上させることができる。また、Cドライブのほとんどの部分を共有するというこの仕組みは、共有ストレージの使用量を大幅に減らせるという効果も併せ持つ。どのように運用するかによって削減率は大幅に変わってくるが、ほとんどの場合、少なく見積もっても半分以下に減らせるだろう。

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