検討会議において要件を決める過程で、参加者同士の意見対立は起こるもの。特に厄介なのは、部門間で利害が対立している場合だ。キーパーソンは、利用部門を代表して参加しているので、自部門にとって不利益になることに安易にイエスとは言えない。エクサの渡辺佳枝氏(コンサルティング推進部 シニアアプリケーションスペシャリスト)は、「大規模なプロジェクトほど部門間の利害で意見が対立しやすい」と話す。

 必然的に起こるものであるから過剰反応すべきではないが、ITエンジニアが意見対立を放置すれば合意形成はままならない。意見対立を解消するカギは、できるだけ早期に発見すること、発見したら解消できる人に相談することである。

 まず、早期に発見する工夫を紹介しよう。前田建設工業の滝沢強氏(情報システムサービスカンパニー 外販・情報系グループ チーム長)は、早い段階で意見対立を認識するために、マインドマップを作成する(図2)。マインドマップはヒアリングの段階から作成し、検討会議に入ってからも日々内容を追加・更新していく。

図2●マインドマップで問題・要望を整理する
前田建設工業の滝沢強氏は、検討会議で出た問題・要望をマインドマップを使って整理する。これにより、早期に意見の対立点を見つけやすくなるという
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 マインドマップを使うのは、検討会議に参加しているキーパーソンをはじめとした各利害関係者の意見を“ゆるく”整理するためだ。「表やロジックツリーを使って、精緻に意見を分類・整理しようとすると、どうしても時間がかかる。いち早く意見対立を見つけるには、関係する意見同士をゆるやかにつないでいくマインドマップが適している」(滝沢氏)という。

 具体的には、検討会議が終わった後、議論の流れに沿って、各自の意見をキーワードとしてざっと並べながら書き出し、関連するもの同士を線でつないでいく。そうすることによって、「検討会議で出た意見全体を俯瞰して把握できるので、対立点を見つけ出しやすくなる」(滝沢氏)。

オーナーにエスカレーション

 実際に意見の対立が生じたら、ITエンジニアが間を取り持ち、個別に意見を聞いて調整したり、当事者同士で話し合ってもらったりする。それでも鋭く対立したままで互いに譲らない場合は、「両者にとっての上長に当たる管理職に裁定を依頼する」(野村総合研究所の荒生氏)。つまりエスカレーションするわけだ。例えば、サプライチェーン改革のプロジェクトで、生産管理部門と営業部門の参加者が対立した場合、どちらの部門の部門長であっても仲裁が難しいので、さらに上の役員に裁定を依頼する。最終的には、プロジェクトオーナーに話を持っていくことになる。

出典:日経SYSTEMS 2011年10月号 pp.62-63
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