写真1●スウェーデンのDoroが展示していた高齢者向けAndroidスマートフォン「Doro PhoneEasy 740」の説明
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 日本メーカーのお家芸とも言える「らくらくフォン」。スマートフォン版の登場も期待されるが、同様のコンセプトの展示をスウェーデンの端末メーカーであるDoroがMobile World Congressで披露していた(写真1)。スマートフォンの普及率は、米国やシンガポール、スウェーデン、スペインといった国が既に3割を超え、グローバルでも1割に達しているとのデータがある。普及とともに、急速に多様化の道を歩み始めている。第2回はスマートフォン/タブレットの多様化に焦点を当てる。

日本発のコンセプトを海外勢がプラットフォームに落とし込む

 ガラパゴス――。日本の閉じた市場の中で進化した携帯電話市場を、独自の生態系を持つガラパゴス諸島になぞらえてこう呼ぶことがある。どちらかと言えばネガティブな捉え方をされていた“ガラパゴス”だが、日本の携帯電話業界が作り上げてきた様々な利用シーンに合った多様なサービスや製品コンセプトが、今まさに世界に広がろうとしているのだ。

 約4年前、筆者は「iPhoneがうらやむ“ガラパゴス”日本、『課題先進業界』日本のケータイ」という記事を執筆し、その中で次のように書いた。「日本の携帯電話業界は独自の進化を遂げた“ガラパゴス”ではなく、世界の携帯電話業界がこれから進む道に実は“先適応”(せんてきおう)している――」。MWC2012の会場を見ると、既視感のあるデモに遭遇することから、いまさらながらそのことを強く感じる。

 その一つが非接触ICカード技術であるNFC(Near Field Communication)に関する展示・デモだ。2012年はNFC対応スマートフォンの普及を背景に、いよいよNFCが動き出すことを感じさせる。ただし、例えば飲食店を模して割引クーポンを発行しスマートフォンで提示するといったデモを積極的に来場者にアピールしているのは韓国SK Telecomだったりする。既に実用化されてユーザーが使いこなしているという点において、日本が世界に先んじていると思われる分野だが、残念ながらそこで使われているスマートフォンは日本のおサイフケータイ対応製品ではない。

 NFCは近距離無線通信技術の国際標準であり、NFCの中に「FeliCa」や「MYFARE(ISO/IEC14443 Type A)」「ISO/IEC14443 Type B」といった非接触ICカード技術が含まれる。おサイフケータイはFeliCaによって実現されるサービスだが、世界的に普及しているのはFeliCaではなく、後者のISO/IEC14443系である。日本でも例えばISO/IEC14443 Type Aはたばこ自動販売機で使われる成人識別ICカード「taspo(タスポ)」などで使われている。

 FeliCaの通信技術がNFCの方式の一つであるなら、現在普及しつつあるNFC対応スマートフォンをそのまま日本のFeliCa対応端末と組み合わせて使うことができそうだ。実際用途を限定すれば使える(関連記事:NFCの可能性に挑戦したアイディアソンとハッカソン 前編)。だが、現状のNFC対応スマートフォンが搭載するチップ上にはFeliCaの暗号化機能などを持つ「セキュアエレメント」と呼ぶ領域がない。そのため通信はできても、おサイフケータイやEdyなど決済を伴うサービスには使えないといった事情がある。

 一方、日本のおサイフケータイ対応スマートフォンが搭載するFeliCaチップは、前述の他の方式には対応していない。モバイル機器による非接触ICカード技術の応用分野で日本は先行したにもかかわらず、MWCの会場におけるNFCのデモで日本の影が薄いのは、こうした事情があるからだ。

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