富士通グループと大和ハウス工業は、現在進行中の基幹系再構築プロジェクトにCCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)という管理手法を適用した。この結果、開発フェーズとテストフェーズでそれぞれ3割近い工期短縮に成功した。2012年4月の稼働開始に向けて、現在は既存システムからの移行準備と運用テストを進めている。

 プロジェクトの遅延が当たり前、とも言われているシステム開発分野において、3割ほどの工期短縮は珍しい。そこで本連載では、CCPMがどのように効果的だったのか、マネジメントをどう工夫したのかなどを3回にわたって詳しく解説していく。第1回では、プロジェクトの概要を紹介するとともに、CCPMとは何か、CCPM採用の経緯、導入効果などについて、プロジェクトリーダーたちの声を交えながら探る。

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 富士通グループと大和ハウス工業は2010年1月から、大和ハウス工業の基幹系システムの再構築プロジェクトを進めている。財務や販売管理などの主要業務に独SAP製のERP(統合基幹業務)パッケージを適用。これにより、業務の標準化と国際会計基準への対応をスムーズに進めることが狙いである。将来はこれをグループ共通のシステム基盤として発展させる計画だ。

 このシステム構築プロジェクトで、両社は新しい管理手法を取り入れた。その手法とは、CCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)。物理学者の故エリヤフ・ゴールドラット博士が提唱した、TOC(制約理論)の考え方を応用した手法である(関連記事1関連記事2、詳しくは本記事最後の囲み記事「CCPMとは」を参照)。

 CCPMを採用したことにより、「実現化(実装)」工程と「テスト・移行」工程の期間を短縮できた。実装工程は約4.5カ月(90日)の想定に対して約3カ月(65日)で終了。27.7%短縮できた。テスト工程は144日の見積もりに対して107日間で終了。25.7%短縮できたことになる。両工程で2011年2月から12月までかかる予定だったが、同年9月までに終えられた(図1、図2)。

図1●プロジェクトの全体スケジュール。適用前(上)のスケジュールでは要求仕様が膨れあがったため「運用定着化フェーズ」に3カ月しか取れなかった
出典:富士通関西システムズ
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図2●短縮効果の詳細
図2●短縮効果の詳細
出典:富士通関西システムズ

 システムの稼働予定時期は2012年4月。現在はこの稼働時期に向けて、旧システムからの移行作業や、ユーザー部門への運用定着化作業を進めている。

 システム開発プロジェクトで、当初の計画より3割近くも工期を短縮できたケースは珍しい。日本有数のシステム開発ベンダーとして数々のシステム開発プロジェクトを請け負っている富士通グループ内でも、このプロジェクトの実績については「信じられない」と驚きの声が絶えないという。

 といっても、読者の皆さんはこのような疑問を抱くはずだ。「なぜCCPMを採用したのか」「工期の短縮はどのようにして実現できたのか」「品質面などでの問題は出なかったのか」――。こうした疑問を、CCPMの導入と適用を先導した富士通グループと大和ハウス工業のプロジェクトリーダー層に率直にぶつけてみた。

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