米ナスダック市場に上場し、中国や日本、欧米などに拠点を持つ海輝軟件(国際)集団。売り上げ規模ではデジタル・チャイナや東軟集団に及ばないが、グローバル展開の早さでは両社の先を行く。海外でのM&A(合併・買収)も積極的で、日本では保険システム研究所を2010年7月に買収した。今後も日本での買収意欲を隠さない海輝軟件のティアックーン・ローCEO&ディレクターに、現在の事業環境や今後の戦略を聞いた。

(聞き手は宗像 誠之=日経コンピュータ



写真●海輝軟件(国際)集団のティアックーン・ローCEO&ディレクター
写真●海輝軟件(国際)集団のティアックーン・ローCEO&ディレクター

足元の事業環境は?

 2011年の業績は前年同期比46%増になる見通しだ。ここ数年の事業ポートフォリオは、従来よりも上流工程にシフトしているのが特徴だ。コンサルティング関連の売り上げが約20%を占めるようになってきた。2011年は、米国向けのアウトソーシング事業が伸びた。

 我が社は日本向けのオフショア開発などアウトソーシング事業から始めたが現在では、売上高のエリア比率では、米国向けが50%以上を占めるようになっている。2年前からは中国の国内ビジネスにも注力し始めている。

 上流工程のへのシフトの象徴となっているコンサル事業は、米国と中国で展開している。これからは日本でもコンサル関連の上流工程への進出に力を入れたい。その一環として、保険システム研究所を買収した。

日本における事業の状況は?

 2011年は今までよりも成長スピードが鈍化した。これは、東日本大震災の影響が大きい。ただ、2012年は徐々に回復してくると見通している。日本の大手企業の中国へのアウトソーシング需要は通常時のモードに戻るだろう。

中国のIT市場において、今後はどのようなプレーヤーを目指すのか?

 中国を本拠地とするグローバルIT企業を目指す。

 一般的な中国のIT企業は、まず中国国内向け市場を手がけてから日本向けへ進出し、最後に米国やその他のエリアに展開していく。

 我々は異なる順序で展開した。まず日本向けの事業を手がけて次に米国向けに進出した。先に海外で実績を作ってから中国へ展開する戦略を取ったが、これが評価され、他社との差異化のポイントとなっている。注力する業種は、IT投資規模が大きい金融や通信になるだろう。

 そのための布石として、経営層は既にグローバル化している。シンガポールや米国、中国、日本など、統括する地域の多様性を考慮し、ボードメンバーの国籍も幅広い。

今後のM&Aの方針は?

 競争力を付けたい分野の業種や事業に強いIT企業を買収していく。業種観点では、金融や保険に強いIT企業、通信会社に強いシステム会社を買収したい。サービス観点では、コンサルのノウハウを持つIT企業を買収したい。

クラウドにはどのように取り組むのか?

 他社のクラウド基盤を借りたアプリケーション開発に注力する。

 つまり、データセンターやプラットフォーム基盤の構築といった、クラウドのインフラ周りの事業を手掛けるつもりはない。データセンターも自社保有はしていないし、今後もデータセンター関連の基盤事業には投資するつもりもない。