利用部門には、システム部門が把握していないExcelのファイルやAccessのデータベースがよくあるもの。基本的に新しいバージョンのExcelやAccessで、古いバージョンのファイルを読み込めるので、大きな問題にならないと考えがちだ。しかし「ExcelやAccessの対応を利用部門任せにしてはならない」(大塚商会の板垣氏)という。板垣氏がよく目撃する典型的な失敗例は、以下のようなものだ。

 ある企業の利用部門では、帳票作成にExcel 2003を使っていた。この状況をシステム部門は把握していなかった。システム部門はWindows 7へのリプレースを進め、プレインストールするオフィスソフトを、Office 2003からOffice 2010に切り換えた。すると、利用部門でそれまで使っていたExcel 2003のファイルを開いたときに、帳票の表示がずれてしまうという問題が生じた。帳票の表示がずれてしまうのは、業務上致命的だったという。

 問題のExcelファイルでは、マクロのプログラムが動いており、その動作の不具合が関係していた。しかしそのファイルを作成した利用部門の担当者は既に退職していたので、利用部門では改修をできなかった。結局、利用部門からシステム部門に、改修の依頼が来たのだが、Excel 2010で一から作り直さざるを得なかった。

 一つひとつの改修作業は大したことがないとしても、企業内のいたるところでこうした問題が起これば、展開スケジュール全体に影響を及ぼしかねない。対処策は、展開作業を進める前に、どの利用部門でどのようにExcelやAccessが使われているかを把握することである。

 ExcelやAccessの使用状況を正確につかむには、ちょっとした工夫がある。それは「Microsoft Officeの新バージョンの操作研修会を開き、その場で現在の使用状況を聞く」(板垣氏)というものだ。

 Microsoft Officeはバージョンアップをすると使い方が大きく変わるので、操作研修会が必要になる。この研修会には、利用部門でExcelやAccessをよく使っている担当者が必然的に集まる。その場で各部門で使用しているファイルの種類、数、マクロの使用状況などを聞けば効率が良い。

出典:日経SYSTEMS 2011年11月号 p.35
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