スマートフォン・タブレット端末向けチップ市場で、英ARMの後塵を拝する米インテル。2011年9月に発表された新モバイルOS「Tizen」への対応を表明する一方で、米グーグルとはAndroid向けプロセッサの開発で提携を発表した。巻き返しを図るインテルと、Tizen開発を主導する韓国サムスン電子の思惑を考察する。


 リモファウンデーション(LiMo Foundation)とLinux Foundationは2011年9月27日、スマートフォンやタブレット端末など各種デバイスに向けたオープンソースのソフトウエアプラットフォーム「Tizen」を発表した。

 アプリケーション環境は、HTML5(HyperText Markup Language 5)と、大手通信事業者が参画する業界団体のWAC(Wholesale Applications Community)の仕様をベースとする。デバイスやOSに依存しないアプリケーションを効率的に開発し、クロスプラットフォームで展開できることを目指したものだ。

業界団体主導のプラットフォーム

 今回の発表で興味深い点は、Android端末やiOSデバイスがスマートフォン・タブレット端末市場のシェアを席巻する中、再び業界団体主導によるプラットフォーム作りが始まろうとしていることだ。WACには世界中から多数の事業者が参加しており、米アップルや米グーグルといったモバイルOSを提供しているベンダーに依存しないオープンなアプリケーション開発フレームワークを推進している。

 そのような状況の中、Tizen開発のイニシアティブをとるのは米インテルと韓国サムスン電子である。両社の思惑について考察してみたい。

Atom搭載Android端末が登場へ

 インテルはこれまで、フィンランドのノキアと共同でLinuxベースのOS「MeeGo」の開発を進めてきた。そのノキアは2011年2月、マイクロソフトとの提携を発表。今後はWindows Phoneでスマートフォンを開発していくことを表明した。2011年6月にノキアはMeeGo搭載の「Nokia N9」を発表したが、恐らくこれが最初で最後のMeeGo搭載スマートフォンになるだろう。またノキアは、Symbian関連部門を2011年末までに米アクセンチュアへ譲渡予定であることも明らかにしている。

 これに対しインテルは、MeeGoの開発部隊を今後数カ月のうちにTizenに移行させると発表。行き場を失ったMeeGoから早期に脱却し、新たなTizenでサムスンと組んで勝負に出たいという意欲がくみ取れる。インテルにとってTizenはMeeGoの実質的な後継プロジェクトになるだろう。

 さらにインテルは2011年9月13日、Android向けプロセッサの開発でグーグルと提携すると発表した。

 この提携の主目的は、Androidの将来版をインテルの携帯端末向けプロセッサ「Atom」用に最適化すること。これで、Atom搭載スマートフォンの開発や市場投入の迅速化を目指している。両社の提携に基づく最初のAndroid端末は2012年上半期にも登場するもよう。

 これまでのところインテルは、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイス市場では出遅れている。現在のスマートフォンやタブレット端末に組み込まれているプロセッサは、米テキサス・インスツルメンツ(TI)やサムスンなどのチップベンダーが、英ARMからライセンス提供された技術に基づいて開発した製品が中心である。ARMベースのプロセッサは、インテル製チップよりも電力効率に優れ、スマートフォンやタブレット端末に適していると言われている。これが、インテルがパソコンやサーバー市場におけるような圧倒的に優位な立場をスマートフォン・タブレット端末市場で築けていない理由だ。

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