韓国モバイル市場に新たな潮流がいくつも生まれつつある。政府主導という面はあるものの、携帯事業者や端末ベンダーといった韓国モバイル市場のプレーヤーが一丸となって、国際市場における競争力とプレゼンスの強化にまい進している。規制当局が一般に目指す競争促進にはとどまらない動きとして注目される。


 2011年の韓国モバイル市場で起こった様々な動きは、これまでの市場環境を大きく変容させる可能性を秘めている。最近の主な動向を整理・解説する。

LTEサービスが7月にスタート

写真1●韓国SKテレコムのLTE対応スマートフォン「Galaxy SII LTE」(韓国サムスン電子製)
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 SKテレコムとLGユープラスは2011年7月1日、LTE(Long Term Evolution)サービスをそれぞれ開始した。いずれも当初はデータサービスのみで、スマートフォン向けサービスは9月以降になる(写真1)。SKテレコムはまず首都ソウルで800MHz帯によるサービスを始め、「市場環境に依存する」としながらも、2013年までに全国をカバーする予定。同年にはLTE-Advancedも導入する計画である。一方のLG U+はソウル、釜山、光州の3地域で提供する点を強みとする。

 LTE導入で出遅れたKTは11月にソウルでサービスを開始する予定だが、「当初からスマートフォンにも完全対応」を強調する。同社はLTEだけではなく、これまで積極投資をしてきたWiBro(ワイブロ)でも新端末を6月に発表した。

 3月末時点の市場シェアはSKテレコムが50.6%、続くKTは31.7%、LG U+が17.7%で第3位だ。LTEサービスが軌道に乗るにつれ、シェアがどう変動していくか注目したい。

第4の通信事業者が誕生?

 中央日報によれば、韓国中小企業中央会(Kbiz)がモバイル事業免許の取得を申請する意向を明らかにしたという。Kbizと約900社の中小企業からなるコンソーシアムが組織される計画で、初期投資額は約1000億ウォン(約72億円)に上ると見られる。申請が承認されれば、第4の通信事業者が誕生する。

 興味深いことにKbizは、LTEではなくWiBroの採用を示唆している。そのWiBroの規格策定に参加したサムスングループに対し、Kbizは出資を要請した。この要請をKbizは、韓国放送通信委員会(KCC)が求める資金面と技術面の基準をクリアするための「必須条件」とする。

 Kbizは自身の通信事業計画を「IT中小企業にとっての新たな成長エンジン」と位置付けていることから、M2Mを含めた法人需要に対応すると見られ、法人分野では既存3社を交えた競争が促進されることになるだろう。

韓国初の周波数免許オークション

 2011年8月には、韓国初となる800MHz帯、1.8GHz帯、2.1GHz帯の周波数免許オークションが実施された。LG U+は、公平競争の観点からSKテレコムとKTの入札が禁じられた2.1GHz帯(20MHz幅)を4455億ウォン(約320億円)で難なく落札した。一方、1.8GHz帯(20MHz幅)はSKテレコムとKTの激しい争奪戦となり、始値の4455億ウォンから倍以上に高騰。KTが離脱し、SKテレコムが9950億ウォン(約720億円)で落札した。KTは800MHz帯(10MHz幅)を2610億ウォン(約190億円)で落札した。

 KCCはこのオークション全体で1兆1500億ウォン(約830億円)の国庫収入を見込んでいたが、1.8GHz帯の高騰により事前予測を大幅に上回った。一方、事業者各社は周波数免許の落札に多大な資金を投じたことで、利益の圧迫に拍車がかかる恐れが出てくる。またLTEネットワークへの投資が滞り、同サービスの拡充が減速することも懸念される。

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