ソーシャルメディア炎上事件簿の第5回はQ&Aサイト「Yahoo!知恵袋」を巡る“やらせクチコミ”事件。クチコミ代行ビジネスの存在が初めて明るみになった。ヤフーにバレないように工作する手口を記した、代行業者による提案書が流出したのだ。クチコミサイトに“やらせ”が蔓延すれば、ネット上のコミュニティは崩壊の危機に瀕する。

 「iPhoneとiPod touchの違いを教えてください」
 「首をポキポキ鳴らすのはよくないことでしょうか」

 ネットユーザーが投げかけた質問にネットユーザー同士で知識や知恵を教えあうQ&Aサイト。その代表格である「Yahoo!知恵袋」(以下、知恵袋)にこれまで寄せられた質問総数は7380万件、回答総数は1億8000万件に上る(2011年10月21日時点)。

 パソコンの操作で分からないことがあったり、エラーメッセージが出て困ったりした場合は、パソコンのサポートサイトにアクセスして該当事項を探すより、知恵袋、あるいは同種のサービスである「教えて!goo」などで検索した方が早いくらいだ。疑問や悩みを素早く解決できるとあって、今年2月には京都大学の受験生が携帯電話で入試問題を投稿し、回答も寄せられていたことが発覚。「知恵袋カンニング事件」として話題になったのは記憶に新しい。

10ページからなる「提案書」

 そんな知恵袋を舞台に、新たな事件が起きた。知恵袋で企業・店舗の宣伝書き込みを代理で請け負うことを提案する営業資料が流出したのだ。提案主は、インターネット決済代行のほか、SEO(検索エンジン最適化)やサイト制作などWeb集客サービスを手がけるJ-Payment(東京都渋谷区)。

 手元に、同社が作成したパワーポイント10ページからなる「提案書」がある。サービス概要には、以下のように記されている。

知恵袋で、お客様の商材を薦められるような質問を探す
→ユーザー目線の投稿を専任のライターが投稿
→本文にさりげなくURLやキーワードを入れる
→知恵袋からたくさんのユーザーに訪問され、認知度・問い合わせ数・成約数アップ

J-Paymentの提案書の一部
[画像のクリックで拡大表示]

 提案書にはさらに、「知恵袋では宣伝目的(商用)の投稿はNGで削除される可能性があるため、1個のアカウントでいつも同じ商品を宣伝しないようにアカウントを分散する」「同じIPからの投稿もヤフーから商用目的と目を付けられる恐れがあるのでIPも分散」と、ヤフーの監視の目をかいくぐって欺く方法を、ご丁寧にアピールしていた。つまり、やらせの宣伝書き込みをバレないように請け負います、ということだ。

ヤフーは「規約違反」と回答

 筆者は、ヤフー広報室に対しこの資料を添付送信した上で、J-Paymentのクチコミ代行サービスは規約に触れるのか、提案を受けた企業は利用してもよいのかを質問したところ、次のように回答した。

 「利用規約違反に当たります。。Yahoo!JAPAN利用規約基本ガイドラインの第1章『7.サービス利用にあたっての順守事項』の7番目にある『サービスを、提供の趣旨に照らして本来のサービス提供の目的とは異なる目的で利用する行為』に抵触します」

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