地震発生時、家族や友人に居場所を自動送信
<シリコンバレー特別賞>ハートビート
作者:TheTeamHeartBeat

 「ハートビート」は地震が発生したとき、あらかじめ登録しておいた親戚や友人にメールを送るアプリである。「オフィスに留まっている」あるいは「徒歩で自宅に向かっている」といった安否情報を選んで、複数のメールアドレスに送信するよう設定する。いざという時に確実に送れるかどうか検証するための予行演習モードも備える。

写真●「ハートビート」の起動画面
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写真●「ハートビート」の設定画面。災害字に連絡する相手のメールアドレスを登録する
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写真●地図上で、利用者の位置と安否情報を知ることができる
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 バックエンドで地震情報を監視し、発生時にC2DM(Cloud to Device Messaging)でアプリケーションを起動する仕組みだ。地震発生時の急激な負荷上昇に備え、Amazon EC2とAmazon SES(Simple Email Service)上にいつでもスケールアウトできるようにしたという。

 震災時、Twitterなどのソーシャルサービスが非常時の連絡手段として注目を浴びたが、すぐに安否情報を送りたい家族や大切な友達が必ずしもそのサービスを使っていない場合もある。身近な人を登録しておき、安否情報をすぐに送れるように発想した、と開発者は語る。

作者に聞く

TheTeamHeartBeat
TheTeamHeartBeat(左から Webデベロッパー/チームオーガナイザー 鈴木達矢氏、Androidデベロッパー Hoang Thach氏)

アプリを開発されたきっかけは。

 震災当時、ロンドンでオンラインTVを運営するスタートアップ企業で働いていました。朝、出社すると自分の生まれ故郷の仙台が大変なことになっているのを自社で持っているチャンネルで見ました。それから数日間、祖父とよく泳ぎに行った若林区の荒浜で200から300名の死体が上がるといった悲惨な事態を、遠目から見るもどかしい日々をすごしました。帰国後何かを通して故郷の力になりたいと思っていたところA3Togetherを見つけ、個人的な思いからハートビートの製作にあたりました。

苦心された点は。

 Web側はRuby on Railsを使っているのですが、RailsがRestfulにリクエストを受けるときにAndroidから必ず受け取らなければいけないパラメータがなかなか発見できなかったり、Android上ではDBを使わないようにしたかったためWeb上のidをリクエストには使えないなどの制限があり、実はあんまりAndroidとの相性が良くなかったこと。またAndroid側はUIを作るにあたってイベントドリブンのプログラミングをしばらくやってこなかったのでコードの設計に手間取ったことなどです。

 それから、安価でプライベートプロジェクトに集中できる作業場所が、実はあまりないということも気づきました。メンバーのThachが引っ越して今はお互い2時間くらいかかるところに住んでいるのですが、間をとって秋葉原の喫茶室ルノアールで最低でも600円の紅茶を頼んで作業したりしていました。お互いWi-Fiが使えて静かに長時間集中できる場所というのが他にないんです。

ユーザーに向けてのメッセージを。

 現在も安定稼動してメッセージを届けるため、なるべく単一障害点のない構成を目指して引き続き開発を行っています。今後、メッセージを届ける経路を複数にするほか、受取人を巻き込んだリアルな予行練習モード、自動位置情報送信オプションの設定など機能を追加していく予定です。

 また、防災という未来投資によって生じる売り上げを、仙台市という被災地の復興のために直接寄付するという型の課金を実現したく現在検討中です。

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