復興支援コンテスト「A3 Together」のアプリ/Webサービス賞に選ばれたのは、放射線量を“見える化”するアプリ「AR GeigerCounter、トレーサビリティ情報検索アプリ「牛トレーサー(放射線汚染情報対応版)」、音による情報伝達アプリ「toneconnect」、脳波を使ったゲーム「脳波SPORTS」の4作品だ。

ARにより放射線量を一目で確認
<アプリ/Webサービス賞>AR GeigerCounter
作者:株式会社GClue

 「AR GeigerCounter」は、放射線の強度を測定するガイガーカウンターとAndroidスマートフォンをUSBで接続し、計測値をAR(拡張現実)を応用して表示するアプリである。「市販のガイガーカウンターは、数値を見ても直観的に理解しづらい。“何が危ないのか”をビジュアルに表現したかった」---作者である株式会社GClue代表取締役の佐々木陽氏は、このように語る。

 アプリを立ち上げるとカメラを通した風景が見える。放射線量が上がると、その風景がだんだん赤くなってくる。また放射線量は地面から1mの高さでの計測が標準になっているが、地面からの距離を表示する機能も備える。GPSの位置情報に基づき、福島第1原発からの距離も表示する。

写真●自作したガイガーカウンターの外観
市販のガイガーミューラー管と自作した電子回路のボードを組み合わせた
[画像のクリックで拡大表示]
写真●AR GeigerCounterのデモ
正常値のときにはカメラのプレビュー画面の上に各種データをオーバレイして表示する。値が危険な領域になると、視界が赤く変化する
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 このアプリの背景には、福島県で行われたガイガーカウンター自作の勉強会がある。福島第1原発の事故を受けて、近隣地域では「放射線の測定」が身近で切実なニーズとなった。そこで市販のガイガーミューラー管と自作の電子回路を組み合わせて、多種多様な測定装置のアイデアが登場した。例えば、Androidスマートフォンと組み合わせることで、放射線の測定値と位置情報をクラウドで共有するようなアイデアもすぐ実現可能となる。AR GeigerCounterも、この勉強会から生まれたアイデアの一つだ。

 もう一つの背景は、米Googleが2011年5月に発表したADK(Open Accessory Developmnet Kit)だ。Android搭載デバイスから、USB経由でコンピュータボードと接続する技術である。このADKの登場により、Androidスマートフォンと外部デバイスを接続した専用デバイスを非常に手軽に作れるようになった。

 作者の佐々木氏は、AR GeigerCounterについて、放射線測定という用途だけでなく、IoT(Internet of Things)と呼ばれる「現実世界とインターネットを接続するデバイス」の一つと位置づけている。佐々木氏は「福島県をIoTの物作りの拠点にしたい。興味を持って頂いた方はぜひ福島へ」と呼びかける。

作者に聞く

株式会社GClue 代表取締役 佐々木陽氏
佐々木陽氏

アプリを開発されたきっかけは。

 このアプリは、復興支援アプリを開発する会津の技術者コミュティ「Hack For Fukushima」から生まれました。福島県は原発事故による放射能やその風評被害に苦しんでいます。ガイガーカウンターが品薄で手に入りにくくになり、それならば自分で作ってしまえと自作された方がいて、その自作ガイガーカウンターとAndroidをつないだことがきっかけです。

苦心された点は。

 自分はアプリ開発者で、最初はハードウエアのことはわからず、「福島ガイガーカウンター勉強会」で勉強しながら市販のガイガーミューラ管を使い、電子回路部分を自作しました。ガイガーカウンターの数値では危険度がわかりにくいので、わかりやすく伝えられるようにと思い、音を鳴らす方法など検討しましたが、ARを使い色で表現する方法をとりました。

ユーザーに向けてのメッセージを。

 ガイガーカウンターの設計図は「open-geiger-development-kit」として公開されています。またこのアプリのように、Androidスマートフォンと電子機器、クラウドを組み合わせることで、放射線計測以外にも多様なIoT(Internet of Things)の可能性が生まれます。福島県をIoTの物作りの拠点としていきたいと考えています。興味のある方はコミュニティにご参加ください。

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