モバイル通信網のトラフィックを無線LAN(Wi-Fi)に逃がす「Wi-Fiオフロード」の動きが世界各国で活発になってきた。Wi-Fiを標準搭載するスマートフォンの爆発的な普及が背景にある。海外のW-Fiオフロードをめぐる各社の動きを整理し、トレンドを概観する。


 スマートフォンの普及ペースが世界的に加速している。それに伴い、モバイル通信網を流れるトラフィックの急増への対応が、通信事業者の喫緊の課題となっている。モバイル通信網の逼迫緩和にはいろいろな方策があるが、無線LAN(Wi-Fi)へのオフロード(退避)に多くの通信事業者が前向きだ。トラフィック急増の主因であるスマートフォンにWi-Fiが標準搭載されているからである。

Wi-Fi活用で先行する米AT&T

 米AT&Tは、かねてからWi-Fiを積極的に活用してきた通信事業者だ。2008年12月にWi-Fiスポットプロバイダー大手のウェイポートを2億7500万ドルで買収。2011年春時点のWi-Fiスポット数は約2万4000カ所に上る。

 競合の米ベライゾン・ワイヤレスはWi-Fiの活用にそれほど積極的な姿勢を見せていなかった。ところが2011年2月にEV-DO対応のiPhone 4を発売して以降、状況は変わりつつあるようだ。同社のスポークスパーソンはホテルやスタジアム、大学構内などトラフィックが多い場所で、EV-DOやLTE(Long Term Evolution)のデータサービス利用者に無料でWi-Fiサービスを提供すると語っている。

英O2は自社Wi-Fi網の本格整備へ

 英O2も、Wi-Fiの活用を前面に打ち出してきた。同社は2011年1月に自社Wi-Fi網の構築を発表。2013年までに英国内で大手のWi-Fiプロバイダーであるザ・クラウド(約4100カ所)、BT(約3800カ所)の2倍以上のWi-Fiスポットを設置する計画である。店舗やレストランなどとの提携も含め屋内・屋外を広くカバーする。

 同社の計画で特徴的なのは、自社顧客以外にもインターネットアクセスを無料で開放する点だ。同社新事業部門のディレクターであるティム・セフトン氏は「当社の顧客のうち、無料の公衆Wi-Fiをモバイル通信網の代わりに使っているのは20%にすぎない。利用料金への不満や、サービス品質にばらつきがあるためである。当社のWi-Fiスポットで、モバイル利用者に高品質な公衆Wi-Fiアクセスを提供する」と語っている。

 O2とは逆の動きを示すのが韓国SKテレコムである。これまで自社顧客以外にも開放していた約3万8000カ所のWi-Fiスポットを2011年7月1日から自社顧客向けに限定する、と報じられた。競合するKT(約5万7000カ所)やLG U+(約1万カ所)は以前から自社顧客だけにWi-Fiスポットを提供している。なおSKテレコムはトラフィックのオフロード施策として、Wi-FiとDC-HSPA+の両方式に対応するフェムトセル基地局の増設にも積極的だ。フェムトセル関連メーカーのピコチップのプレスリリースによれば、2011年末までに1万のフェムトセルを設置する計画という。

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