成果主義への反省もあって、ここ数年は結果よりもプロセス重視で社員を評価・育成する企業が増えた。そんななか、マウスやキーボードといったパソコン周辺機器を手がけるエレコムの管理職は3カ月に1度、合宿形式の「スーパーセールスマン会議」で、営業目標の達成状況に応じて浮き沈みを全身で味わう。その様子は逆に新鮮に映る。

写真●エレコムが3カ月に1度開催する管理職合宿「スーパーセールスマン会議」
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 この会議、主たる目的は営業成績が良かった社員の成功体験をみんなで共有することだ。葉田順治取締役社長をはじめとする幹部や営業系の管理職ら50人以上の視線を感じながら自身の3カ月間の実績を振り返り合う、ショッキングな場でもある。営業目標を達成できた「ベスト社員」は自分がやってきたことを大いに自慢でき、逆に未達だった「ワースト社員」は反省の弁を述べなければならない。

 「はっきり言って、ワーストの席は地獄だ。誰も二度とあの席には座りたくないと思う」。葉田社長は真顔でそう話す。だからこそ、「一度ボロボロになったワースト社員が1~2年後にベストの発表をしてくれた時は本当に感動する」。悔しさが人を能動的な動きに駆り立て、ベスト社員のノウハウを貪欲に吸収したいという気持ちを高める。

 会議は昼間、張り詰めた空気の中でベストとワーストの対照的な発表で進み、夜は宴会になる。ここでもベストとワーストの宴席は食事や飲み物で差をつける。宿泊を伴う場合は部屋のグレードも異なる。ワースト社員は大人数の相部屋だ。

 ここまでの描写で読者は「エレコムとはどれほど恐ろしい会社なのか」と思うかもしれない。ところが業績堅調なエレコムの現場にさほどの重苦しさは漂っていない。トップシェアを誇る強い商品を何種類も抱えているので、ワースト社員がベストに返り咲くチャンスは十分にある。加えて、関西系の企業らしい軽いノリの雰囲気がある。

 2010年7月に開催した会議の後の飲み会では、葉田社長がワースト社員に関西弁で「コノ、ボケー。帰れ」と冗談を飛ばした。そうした会話ができるのも営業努力が報われるだけの商品力と、ノリのいい社風があればこそだ。

ナレッジ共有とデータあっての体感

 実のところエレコムは締めつけの場だけで営業力を高めているわけではない。五感に訴える仕組みを持つ一方で、対極にあるナレッジ共有やデータ重視の仕組みを重視している。売れ筋の分析システムや営業ノウハウの共有システムを自前で開発し活用してきた。

 ただ、こうしたツールと自分のナレッジを自慢しながら共有し合える文化があっても、ノウハウや数値を見て主体的に動けない人がいる。だから「動ける人と動けない人の差を肌身に感じてもらう」と葉田社長は話す。

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